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アレス動物医療センター

うさぎの病気 跛行(歩行異常、歩き方がおかしい)

緊急性

 迷わず今すぐ動物病院へ行ってください。

 ただしその動物病院が閉まっている時間なら、受け付けてくれるか電話で確認し、もし無理と言われたら、受け付けてくれる病院を探しましょう。
 それでもだめなら朝まで待つしかありません。

解説

 うさぎの歩き方がおかしいというのは、いくつも原因が考えられるのですが、手足の問題、神経の問題、全身状態の問題に大別されるでしょう。

 手足の問題というのは、手足の皮膚炎外傷、骨折、脱臼などがよく見られます。
 うさぎはその俊敏な動きを維持するために、骨が非常に軽く出来ているのですが、そのために強い衝撃を受けるとあっさり折れてしまいます。
 だっこしていて落下したときにも折れますし、びっくりしてパニックに陥り、ケージの金網に足が挟まったり、あるいはケージを蹴り上げた衝撃などで勝手に折れてしまうこともあります。

 しかも一度折れると治療が難しく、うさぎの骨折手術に対応できる動物病院も限られています。
 折れやすく治りにくい、これほど獣医師を悩ませる骨もないでしょう。

 骨折した場所によっては、放置しても生きて行くうえではさほど支障がないこともありますが(ただしもとのように四本足で走り回るのは無理かもしれませんが)、骨折は可能なら1週間以内に手術をしなければならないので、すぐに病院へ行くべきでしょう。
 病院にも1週間前、2週間前からすでに手術の予定がたくさん入っているはずです。今日連れていって、すぐ明日に手術が出来るわけではないのです。
 うさぎの骨折部の出血が止まり、腫れがひき、そのうえでもっとも手術に適した時期を判断する。
 獣医師が的確な判断を下せるよう、そして少しでも早く予定を入れてもらえるよう、一刻も早く病院へ連れていってあげてください。

 うさぎの脱臼は肘や膝、股関節で起こることが多いようです。
 脱臼も骨折と同様落下などによって起こり、また手術時期の判断は難しいものです。
 少しでも早く病院に連れていってあげるべきでしょう。
 全身状態、年齢など、状況によりけりなので、手術すべきかどうかも獣医師の判断を仰ぐ必要があるでしょう。

 神経の問題で歩き方がおかしくなることもよくあります。
 詳しくは神経症状の項をご覧になっていただけるとありがたいのですが、内耳炎、中耳炎、寄生虫感染、先天性疾患(遺伝性)、中毒、熱射病、腎不全、栄養不良などが挙げられます。

 この他に意外と多いのが背骨の骨折や椎間板ヘルニアなどです。
 これは骨折の痛みなどが原因で歩き方がおかしくなるのではなく、背骨の中を通る脊髄(神経)がダメージを受け、下半身麻痺になり、ひどいときには尿や便まで自力でするのが困難になることがあります。
 骨折部位によっては下半身麻痺だけでなく、前足も不自由になることすらあります。
 いずれにせよ神経症状の治療はスタートが肝心、症状が出てから最低でも8時間以内に治療を開始する必要があるのです。
 事故を起こさない程度に急いで病院に連れていってあげてください。

 全身状態の問題というのはいろいろ考えられます。
 例えばお腹の中の臓器に大きな腫瘍や炎症が出来た場合、
 あるいはこの腫瘍なりが破裂して出血している場合、
 心臓や肝臓、腎臓、腸管などに障害が生じた場合、
 感染症にかかった場合、
 栄養不良の場合、
 等などいろいろな問題によりうさぎは全身状態が悪くなり、ふらふらとしか歩けなかったり、あるいは動くのを嫌ったりします。

 これを足の問題として飼い主さんが勘違いされることもありますが、これは獣医師でも判断が難しいくらいですから、しょうがないでしょう。
 動物病院に連れていき、いろいろな検査をしてもらわなければなかなか本当の原因には辿りつけないでしょう。

 いずれの原因にしてもろくなものがありません。
 様子を見ようなどと考えず、まず病院へ行ってみてはいかがでしょうか。

 野生のウサギが走れなくなったら、即命に関わります。
 ちょっとの痛みくらい我慢して走るのでしょう。
 つまり飼い主さんが気づくくらいの歩行の異常というのは、それくらい切羽詰った状態なのです。


アレス動物医療センター

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