ウサギを診察していると、ウサギが最も命を落としやすいのは生後3ヶ月以内ではないかと思うのです。
今の日本ではおそらく7歳くらいまで生きてくれたら、よくがんばったねと誉めてあげなければならないくらいですし、それ以上生きてくれたら感謝状を渡さなければならないほどでしょう(いつか10才くらいまで生きてあたりまえというくらいにできたらと思っているのですが)。
ですが、この7歳どころか3ヶ月も持たずに命を落としてしまう仔は、異常なくらいに多いのです。
生後3ヶ月以内(早すぎますが)に、非常に多くのウサギ達が命を落としたり、あるいは斜頚、スナッフル、下痢などを起こしたりします。
生後3ヶ月どころか、ペットショップから購入してきてたった数日で命を落とす仔もそれほど珍しくありません。
これはおそらく早すぎる親離れに由来していると思うのです。
いくつかのページでも書いていますがウサギを購入(あるいは貰い受ける)のは、最低でも生後2ヶ月以上経ってからでなくてはならず、これより早く親離れをさせてはいけません。
しかしペットショップに行ってみてください、手のひらサイズのウサギが出生日も書かれずに平然と売られています(ちゃんと2ヶ月以上たったものしか売っていないペットショップもあるのですが)。
店員に聞いてみると生後1月くらいといったり、分からないといったりするのです。
たしかに生後1月も経てば、うさぎは餌を食べているでしょう。
しかし、まだ母親のミルクが必要であり、ここでミルクなしに育てると(親離れさせると)、非常に弱い、病気がちなウサギになってしまうことが多いのです。
では、何でそんな、危ない状態で店頭に並べているか?というと、その時期が一番かわいく、一番売れるからです。
うさぎの命は2の次で、とりあえず売れれば良いのです。
しかしこれはペットショップだけの責任ではありません。
買うほうにも責任があるのです。
買いたがる人がいるから、ショップは売る。
これはしごく当然のことであり、ペットショップの人だって食べていかなければいけないのですから、一番売れる時期に店に出したくなる気持ちもわからないでもないです。
だから、うさぎの飼い主になる人が1ヵ月のかわいい時期をぐっとこらえて、皆2ヶ月以上経ってからでないと購入しないという姿勢をとれば、一番売れる時期は2ヶ月齢のウサギとなり、ペットショップももう少し考慮してくれるようになるでしょう。
買ってきて3日くらいで死んでしまったからといって、ペットショップに文句を言いに行ってもしょうがありません。
だって、生後2ヶ月経たずに買ってきた人も悪いのですから。
これは知らなかった、では済まないのです。
知らないということはうさぎの飼い方の本を読まずに衝動買いしてしまった人であり、命を軽視しているということです。
出産後不慮の事故で母親が命を落としてしまって、親離れもやむなしというのならしょうがありません。
しかし、これは人為的なものであり、ウサギに罪はないのです。
一番かわいい時期は、命がけで出産した母うさぎのためにあり、人のためにあるのではないのかもしれません。
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