おうちに来て間もない、それこそ生後2ヵ月にも満たないウサギさんで、ときどきお目にかかる病気がコクシジウムです。
コクシジウムとは幼弱なうさぎさんの下痢、軟便の原因としてはポピュラーな病気で、寄生虫の一種です。
うさぎのことを勉強されている飼い主さんや、一般の(犬猫中心の)動物病院の先生でも結構知られている病気です。
ただコクシジウム=下痢というイメージが強いので、生後1〜4か月のうさぎさんが下痢というとコクシジウムを疑う獣医さん(あるいは飼い主さん)は多いのですが、コクシジウムで下痢までしていたら、もう結構重度にまで症状が進行しているということで、それでは治療開始時期としてはちょっと遅いのです。
コクシジウムの症状として、最初によく見るとは「削痩(やせている)」です。
元気も食欲もある。
下痢もしてないし軟便もしてない。
ただ痩せている。
という患者さんが多いです。
これは本来食べなければいけない量(体重の5%)のペレットは食べているけれど、コクシジウムのせいでうまく栄養利用できてないので、こっそり痩せている(あるいは食べているペレットの量に見合った体重増加でない)という症状です。
そもそもうさぎの骨格に対する体重を適正に判断できる飼い主さんは少ないので、おうちのうさぎさんが痩せているか、太っているか、ちょうど良いかの判断は難しいものです。
ですから元気も食欲もあり、ペレットもバリバリ食べているので、この段階で飼い主さんが異常に気付くことは少なく、何気なく健康診断に来て、初めて獣医師に指摘されるということがほとんどです。
この「食欲も元気もあるけれどなぜか痩せている」というあたりが初期症状であり、ここで異常に気づき治療をしていれば、まず手遅れということはないと思います(別の基礎疾患でも持ってなければ)。
ここで気づかずにさらに症状が進行すると食欲が落ちてきます。
本来生後5か月までのうさぎさんに与える量は体重の5%ですので、体重1000gのうさぎさんで1日50g(25gを2回)、体重500gのうさぎさんだと、1日25g(12gを2回)のペレットを食べるのが本来の食欲です。
これを15gしか食べられないというのは、評価としては「食欲なし」です。
獣医師の思う「食欲なし」とは本来食べられるはずの量が食べきれない(あるいは極端に食べるのに時間がかかる)というものが「食欲なし」であり、まったく食べないのは「食欲廃絶」です。
食欲不振はまだ戦いようはあるのですが、生後1か月2か月の小さいウサギさんにとって「食欲廃絶」は一気に生存率が下がってしまいます。
食欲不振の後に来る症状が軟便、下痢です。
このあたりで結構症状は進行しており、たとえ一見元気そうでもかなり、注意して戦わないと死に至ることも十分あり得るのです。
厄介なのはうさぎさんは(特に小さいウサギさんは)、とにかく死のぎりぎりまで元気です。
昨晩まで元気に走り回っていたのに、朝には横たわっているということも消して珍しくはないのです。
下痢になったらもう手遅れ、というわけではないのですが、より安全により確実に戦うには「食欲があるのに痩せている」という段階で治療を開始しなければいけないのです。
先にも書きましたが、この段階で気づける飼い主さんはほとんどいません。
何が言いたいかというと、おうちにうさぎさんを迎えたらできるだけ早い段階で動物病院での検診と、便検査を受けましょうということです。
おうちに迎え、もし体重の5%のペレットを食べきれないのであれば、すぐに
5%のペレットを食べきっていたとしても、せめて1週後くらいには動物病院で診察してもらったほうが良いと思うのです。
小さいうさぎさんを動物病院に連れていくとなると、ストレスなんじゃないかと躊躇するかもしれないですが、やはり早めに診察は受けるべきなのだと思うのです。
そもそも病院に連れて行くのを躊躇うほど小さい(生後3〜4週程度の本当に小さい)うさぎさんは、買ってきちゃだめですけどね。
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