ハニワ(埴輪)とは、日本の古墳時代に特有の素焼の焼き物。古墳上に並べ立てられ…
というお話ではありません。
「ハニワ」という名の犬を病院で飼うことになったのです。
いわゆる輸血犬というやつです。
ちなみにメスです。
スタッフみんなの投票(総選挙?)で決まりました。
ちなみに私は「アイちゃん」を提案しましたが、落選しました(院長なのに)。
8月28日に家(病院)に来たので「ハニワ」です。
…何はともあれ「ハニワ」です。
ちなみにペットショップでやや売れ残り気味に残っていたラブラドールレトリバーです。
初めてペットショップで見かけた時、大きくなりすぎてショーケースではなく普通のケージにうつされていました。
横切るお客さんが差し入れるすべての手を丹念に舐め。
横のケージにいた猫がちょいちょい差し入れる手をしつこく舐め、時に甘咬みし。
私がそばに寄ると、何も考えてなさそうな(若干アホ面気味の)顔をこちらに向け、小首を傾げました。
『ちくしょう、可愛いじゃねぇか』
おそらく一目惚れでした。
ただ、その場ではどうしても買う決心がつかず、何度かペットショップに通い、実際購入したのは1月くらい経ってからでした。
開業して11年。
ずっと輸血犬を病院で常備するということができませんでした。
これはいろいろな理由があるのですが、そもそも以前イオンの小さい店舗で開業していた時には、大型犬をおいておくスペースがありませんでした。
また、ただでさえ入院患者さんの世話で、てんてこ舞いなのに、病院の犬の世話に労力をさけるほどスタッフがいなかったということもあります。
大型犬のしつけに労力を回すほどの時間的なゆとりもありませんでした。
でも、一番の理由は「なんとなくシーターに申し訳ない」気がしたのです。
シーターというのは、以前ひとりごとにも書いた、子供の頃飼っていた犬です。
私が獣医師を目指すきっかけになった犬でもあります。
そういう発想はちょっとおかしいのかもしれませんが、自分は生涯シーター以上にペットとして犬を愛せる自信がなかったのです。
そして、シーター以上に他の犬を愛してはいけない気がしていました。
別の犬を飼うのはなんだか浮気のような気がして、後ろめたく思いました。
シーター以上に愛せないのに、飼うというのは新しく家に来る犬に対して失礼なのでは、とも思っていました。
輸血犬とはいえ、やはり病院(私)が犬を飼うということになるわけで、犬としては私を飼い主として全力で愛してくれるでしょう。
なのに、こちらはその子を一番と思えないのです。
それはすごく失礼で、かわいそうな気がしてならなかったのです。
とはいえ、病院にCTを導入し、肝臓癌など難病の早期発見ができるようになってくると、どうしても大掛かりな手術が増えてきてしまい、こうなると常時輸血が出来る体制でないといけなくなってきました。
他院からの紹介などで、重病の患者さんが集まってくるようになると、輸血が必要なシーンがどうしても増えてきました。
私の意味不明な貞操観念で、輸血犬を飼わないということが許されない状況になってきてしまいました。
正直今でも、ハニワ(注:犬の名前)をシーター以上に愛せるか自信がありません。
ただ、最近は少し気持ちが変わってきました。
ハニワのほうがシーターより愛せるかも、というお話ではありません。
シーターとハニワは同じ犬だけど、全然違う個性で、比較すること自体おかしいのかもと思いはじめたのです(思うように努めているのかもしれませんが)。
臆病で、誰を見ても吠え、家族以外には一切心を許さず、お腹を壊して犬小屋を汚してしまったら目も当てられないくらいしょんぼりしていたシーター。
好奇心旺盛で、全くと言っていいほど吠えず、あらゆる人に愛想を振り、平気でう○こを踏み散らかすハニワ(それは本当に勘弁して)。
似ても似つかない2人はどっちがいいとか、どっちが可愛いという問題ではないのかもしれません。
シーターにはシーターの良い所があって、ハニワにはハニワの良い所がある。
2人を「犬枠」で優劣を競わせるのは無意味で、シーターは「シーター枠」の一番、ハニワは「ハニワ枠」の一番なのです(なんのこっちゃ)。
例えれば
アイドルとしてももクロが上か、AKBが上かを議論してもしょうがない。
ももクロはAKBのようにはなれないし、AKBもももクロのようにはなれない。
ももクロは「アイドル枠」ではなく「ももくろ枠」なのだから。
世界のももクロNo.1 ってことですよ。
…え?例えがわかりづらい!?
大丈夫、モノノフにはわかります。
わからなくても、日常生活に全く支障はありません。
要はシーターも可愛いけど、ハニワも可愛いってことですよ。
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