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アレス動物医療センター

うさぎの病気 不正咬合(歯が伸びすぎている)

緊急性

 元気、食欲があるなら今日、明日中(せめて今週中には)動物病院へ行ってください。
 元気食欲がないようなら迷わず今すぐ動物病院へ行ってください。

解説

 うさぎの歯の伸びすぎというのは、飼い主さんが気づきやすいよくある病気ではないでしょうか。

 ただし、飼い主さんが気づくのは切歯(前歯)の伸びすぎであり、臼歯(奥歯)の伸びすぎに気づく人はほとんどいないと思います。

 ただの歯の伸びすぎかとあなどらないでください。
 爪の伸びすぎと異なり、うさぎの場合命に関わるのです。
 歯が伸びすぎると、その伸びすぎた歯が歯肉を傷つけて痛みとなり、歯肉炎を起こしたり、食欲がなくなったりします。
 別の項でも記述しましたが、食欲がないというのはウサギにとっては命取りです。

 食欲不振で連れてこられるうさぎの原因のかなりの部分をこの歯の伸びすぎが占めているといっても過言ではないでしょう(たぶん)。

 ですから、病院に連れていって、歯を切ってもらう必要があります。
 ただし、臼歯の伸びすぎの場合は麻酔をかけないと切ることができない場合が多いです(少なくとも私は麻酔をかけて切っております)。

 麻酔の危険性は当然あります。
 それはウサギに限らず、犬でも猫でもヒトでも同様です。
 それでも食欲が減退するようなら、危険を覚悟のうえで行わなければならないとお考えください。

 ちなみにこの歯の伸びすぎというのは、先天的な問題か、あるいは牧草をあまり食べてくれないうさぎさんでよく起こります。

 また、牧草をあまり食べてくれないうさぎさんの場合、大概がペレットやその他のおやつのあげすぎの場合が多いです。
 今の食生活が本当に適切な内容か、主治医の先生に相談してみましょう。

 先天的な問題とは、つまり生まれつきの歯並びの悪さから起きるということです。
 正確には、上のあごと下のあごの大きさや噛み合わせの悪さということになるのですが、まあ言ってしまえば歯並びです。
 ですから、うさぎのように死ぬまで歯が伸びつづける生き物の場合、切っても切ってもまた伸びてくるということが多いです。
 しかしごく初期に発見されると、矯正する切り方である程度改善することもありますので、まずは病院で診てもらう必要があります。
 
 また牧草をあまり食べず、ペレットばかり食べていると、初めは正常だった歯並びも、年齢とともに悪化してしまうことがあります。
 これは先天的なものと違い、牧草中心のきちんとした食生活を心がけていれば、防ぐことが出来る問題です。
 しかし一度不正咬合が発症してしまうと、完全にもとの正常な歯並びに戻すことは基本的には出来ず、生涯にわたり、歯の処置をし続けていくこととなります。
 
 いずれの原因にせよ、歯はウサギにとっての生命線であり、不正咬合が起こると鼻炎、目やに、結膜炎、涙、皮膚炎、膿瘍など様々な病気が続いて起こってきます。

 先天的なものは防ぎようがないのかもしれませんが、せめて食生活で防げるものだけは、飼い主さんの力で、どうにか守ってあげてください。


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