あなたがウサギに出来ることは　獣医師による　うさぎ専門情報サイトです。

　さてメサジルが効くかどうかというところですが,基本的にはうさぎの尿石症には効果はないのでは,と思います。

　というか,そもそもそのうさぎさんの尿石は本当にストラバイトなのでしょうか。

　うさぎの尿石症の大半は炭酸カルシウムという食事中のカルシウムの多さなどが原因で起こるものです。
　ストラバイト結石というものは犬や猫で多い尿石症で，これは尿がアルカリ性になると出来てくる病気です。
　
　ここで注意をしなければいけないのは，犬や猫では尿検査に尿結晶（結石の元になるもの）が見つかると,すでに異常なのですが（治療が必要），うさぎの尿は正常でも尿結晶が結構な量で見つかるのです（尿検査で結晶が出ないうさぎはまずいないと考えるべきです）。

　特にうさぎは正常な尿がアルカリ性であり（犬,猫は酸性か中性の尿です），ストラバイト結晶が尿で見つかるのは当たり前のことなのです。

　ですから,メサジルのような尿酸化剤（尿を酸性にして,石を溶かす薬）は正常尿が酸性である,犬,猫には有効でも，ウサギには効くのか分かりませんし,そもそもうさぎの尿を無理やり酸性にして良いのかもわかりません。

　正常尿でも尿結晶が大量に出るウサギにとって，尿検査で見つかる結晶にはあまり意味がなく，�@頻尿,血尿などの症状があるか，�Aレントゲンで結石が写るのかどうか,�B手術で摘出した結石の成分は何なのか（大学病院などに結石を送って検査してもらい,尿石の分析をして炭酸カルシウムなのかストラバイトなのかを調べてもらう），が唯一重要なことになります。

　ウサギに関しては,犬猫と違い，尿検査だけでは判断が出来ないのです。

　ですから,そちらのうさぎさんが２年前にした手術で摘出した尿石が，成分検査の結果何だったのかということが,まずはじめに把握しておくべきことだと思います。

　たとえば,尿検査にいつもストラバイトが出てきていたから,摘出した石もストラバイトだ,とは限らないわけで,ほとんどは炭酸カルシウム結石なのです。

　手術したときの結石成分検査が炭酸カルシウムなら,そもそもメサジルには意味はないでしょうし,ストラバイト結石だったとしてもそれはアルカリ尿のせいというより食事中の成分の問題ではないかと思うので，メサジルで治るという問題ではない気がします。

　まずは２年前の手術のとき摘出した尿石が本当にストラバイト結石だったのかどうかを確かめるところからではないでしょうか。