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アレス動物医療センター

うさぎの飼い方 野草

2015/5/16更新

 野草は何を食べさせたら良いですか?
 と聞かれることがあるのですが、私はいつも「与える必要はありません」と答えています。

 野草が体に悪いのかというと、そういうわけではないのです。
 新鮮な野草はうさぎの好物です。
 ただ、安全面にかなり気配りしなければならないということです。
 
 安全面への気配りとは、第一に食べて良い野草のみを確実に選ばなければならないという点です。

 ウサギが食べて良い野草というと、一般的なところでタンポポ、オオバコ、クローバー、シロツメグサ、ナズナ、ハコベあたりがそうでしょうか。

 これに対しアサガオ、スイセン、ワラビ、シャクナゲ、キョウチクトウなど有毒な植物もたくさんあります。

 どれが安全な植物かというのを完全に把握しておかなければいけませんし、どの野草がどんな成分かも調べる必要があります。

 ただ、犬に対するブドウやミカンのように、最近になって有害とわかってきたものなどもあり、まだまだ研究が進んでいない未知の分野です。

 最近では新鮮な牧草もいたるところで購入できるわけで、何も大切なわが子で安全試験を行うようなチャレンジをする必要はないと思うのです。

 また、野草に関しては、きちんとした成分もはっきり分かっていないものがほとんどです。

 例えばアルファルファとチモシーの成分が全く異なるように、野草もものによってはカルシウムが多すぎたり、蛋白質が多すぎたりというのも当然あります。
 みなさんはどの野草が高カルシウムか、ということをご存知ですか?
 
 もう一つの安全面への気配りは、農薬や排気ガスなどによる汚染の有無です。
 道路や田畑の片隅に生えている野草がすべて安全かと言われると、けして大丈夫とは言いきれないでしょう。

 現に犬でですが、畑そばの雑草を食べた後、有機リン中毒(農薬の一種による中毒)により、死線をさまよった患者さんがいます。
 除草剤で死んでしまった患者さんもいました。
 除草剤などは、草に使用してから、見た目に明らかなくらいかれてくるには相当時間がかかるわけで、身近な野草が安全という保証はどこにもないのです。

 これはどれだけ野草の知識を身につけても、あるいは目を凝らしてみても分からないことですから、非常に危険なことではないかと思います。

 また野草の繊維質の量は生牧草や野菜と大差ありません。
 ですから与えすぎるとお腹は膨れて、繊維質はほとんど取れず、という問題がおきてしまいます。

 与えるにしても、おやつ程度にちょこっとというのが良いと思います。

 ワラ以上の魅力を野草には見出せません。
 しいて使う理由があるとしたら、食欲が落ちた時のトッピングや、あるいば牧草嫌いのうさぎさんに対する野菜から牧草へのシフト練習用と考えるべきかもしれません。


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