うちの病院も開業から5年半。
なんだかんだであっという間に年をとっていきます(私も病院も)。
そして4月1日より、5人目の獣医師が病院にやってきました。
獣医師といっても、まだ大学を卒業して、右も左もわからないひよっこ状態。
いや ひよっこ手前のカリメ○状態というところでしょうか。
彼女は神奈川出身で、さぞかしご両親は富山県に就職されたのを心配してらっしゃるのではないでしょうか。
言葉は通じるのか(通じます)。
物価は高くないのか(むしろ安いです)。
給料はちゃんと出るのか(ちゃんとかどうかはともかく、一応出ます)。
冗談はともかく、地元の病院よりもこちらの病院を選んでもらった責任はとても大きいです。
いつか神奈川に帰って、どこか別の病院に勤めることになっても、恥ずかしくないくらい立派な獣医師に育てなければと、身が引き締まる思いです。
しかしやる気に満ちた新しい風が病院に入ってくるのはいいもので、指導を行ううちに、こちらもまた勉強になることも多いのです。
うちの獣医師2号から4号も、指導にあたったり、質問に答えたりと、ちょっと緊張感が漂っています。
頭ではわかっている基本的なことも、いざ言葉にして説明しようと思うと、意外と難しいもので、考えをまとめ、わかりやすい言葉に置き換え、というのは良い勉強になります。
整形外科の手術も執刀できるようになってきた2号、エコー検査に関してあっという間に院長を飛び越えて行った3号、鳥の診療に興味をもち6月から東京の鳥専門の病院で修行を積む4号。
同じように育てているつもりでも、おのおの特徴的な枝振りで育ってきた先輩獣医師に囲まれ、5号はどんな成長を遂げていくのかと、今からわくわくしています。
獣医師としての基礎的な技術、倫理、スタンスなどはもちろん徹底的に教え込みますが、何も私のコピーになる必要はなく、根っこの部分さえしっかりしていれば、どんな木に育ってもらっても良いと思っています。
今はおそらく毎日の診療についていくだけでいっぱいいっぱいだとは思います。
覚えなければいけないことがたくさんありすぎて、自分のやりたいことや、長所を探しているゆとりはないでしょう。
きっとこの一月、あまりに時の流れが速すぎて、気がついたらもう月末になっていたというところでしょう。
とりあえずはそれで良いのだと思います。
私も修行時代は最初の1年はわけがわからず、気がつくと過ぎていました。
2年目はちょっとまともな診察が出来るようになった、と油断していると、自分の診察の荒さにがっかりさせられたりして、それでもやっぱりあっという間に過ぎていきました。
3年目になると、少しは診療なりに自信が出てきたり(あるいは途中でそれが崩れたり)しながら、気がつくとちょっと獣医っぽくなってたりします。
このあたりから、自分の中で興味のある分野や、得意な分野が見えてきて、少しずつ獣医師としての自我が芽生え始めてくるのだと思うのです。
私が外科の病院にいながらウサギに走っても、けっして怒られなかった師匠。
日本でもトップレベルの外科技術を持ちながらも、常に新しい技術にチャレンジし続けている師匠。
その背中は、私にとってはあまりに大きく、いつまでも越えられない高い高い壁であり、目標でもあります。
獣医師5号にとっても、自分がそんな存在になれるように、がんばっていかねばと心に決めるのです。
私にとって師匠がエベレストなら、獣医師5号にとって私は高尾山くらいにはなりたいものです。
注意:高尾山に登ったことがないので、どの程度高い山なのか知りません。もし高尾山をこよなく愛する地元の方々が不快に思われるようでしたら、ご連絡ください。
どこか別の山を探します。
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