毎日毎日、太りすぎの動物たちの飼い方で,説教ばかりの悲しい商売ですが、あー,太りすぎの説教って,まだましなのかもーと思う今日この頃です。
今月に入って,信じられない患者さんが3件連続できました。
それは飼い方の問題で起きた,重度の栄養失調です。
3人ともがりがりにやせ細り,本当に骨の上に皮がかぶっているだけというくらい,あばら骨が浮き上がり,毛の上からでもあばら骨とあばら骨の間に溝が見えるくらいでした。
ぐったりと横たわり,立ち上がることもできず,ただうつろな目を見開いたまま,首をぐにゃりと曲げ,まるで綿の足りないぬいぐるみのようでした。
体温は35度をきり,痙攣のようにカタカタ震え,意識も不明瞭な状態。
一番ひどい症状だった子は,半年前に会ったときは6kg以上あったのに,半分以下の3kgまで体重が減ってしまっていました。
餌の量をきちんと計らず何ヶ月も半分以下の餌の量で飼われていた子。
夫婦がお互い餌をやっていると勘違いしていて,6日間も餌をもらえてなかった子。
原因は多少バリエーションがあっても,共通する原因は同じ,飼い主さんの無責任さです。
大事な家族を無計画に育てて,太らせ,糖尿病や,心不全,椎間板ヘルニアにしてしまう飼い主さんも,もちろんほめられた話ではないですが,餓死寸前まで餌をあげ忘れる飼い主さんがいるなど,正直想像だにしていませんでした。
3人とも数日間生死の境をさまよい,運よく息を吹き返しましたが,どの子がお亡くなりになっていてもおかしくない状態でした。
飼い主さんはみな涙を流しながら面会に来て,口々にごめんねと呪文を唱えるように声をかけて帰っていくのですが,残念ながら「そんなに気に病まないで」といえるほど私は大人ではなく(注意:34歳),おそらく隠しきれない冷ややかな目で飼い主さんを眺めていたのではないでしょうか。
体重が半分まで減ってしまっていた子は意識が戻ったのは病院に来て3日後で,それでもぐったりと臥せったまま,世話をしていても目を動かすだけで,立ち上がったり座ったり出来る状態ではありませんでした。
それが飼い主さんが面会に来たとき,よろよろと立ち上がったのです。
入院ケージの奥から微動だにしなかったその子は,立ち上がり,ふらふらとした足取りでケージの扉ぎりぎりまで進み,パタパタと飼い主さんに向かって尻尾を振ったのです。
ただただぐったりと臥せっていたのに,目に光が宿り,鼻をケージの隙間から押し出し,鼻先だけでもいいから撫ぜてよと,飼い主さんにせがんでいるのです。
「そいつはお前を餓死させかけたやつだぞ!尻尾を振る価値なんかないぞ!!」と,思わず飼い主さんの後ろから声をかけたくなるのをぐっとこらえ,その反面
「それでもこの子には,この飼い主さんしかいないんだな」と思いました。
感動的な気もするし,なんだか少し哀れな気もするし,なんとも不思議な感情がわきあがるのですが,微塵も飼い主さんを疑っていないその無垢さには,やはり心を打たれます。
あのよろよろと立ち上がった姿に,きらきらとした純粋なまなざしに,一生懸命振った尻尾にこそ,飼い主さんたちは本当の後悔を覚えたのではないでしょうか。
私なんかがぶつぶつ説教するよりもはるかに,効果があったのではないでしょうか。
飼い主さんはペットショップなりで,好きなようにペットを選べるのでしょうが,飼われるペットたちには飼い主選択の自由はもちろんないわけで,そのときその子たちの命運は決まってしまいます。
もちろん精一杯の愛情を注ぎ,幸せいっぱいで長寿を全うできる子たちもいるでしょう。
しかし中には,虐待ぎりぎりの飼いかたで,何の罪もないのに,ぼろぼろになって死んでいく子達もわずかですがいるのです。
ただ,かわいさだけを堪能したく,飼い主としての責任もきちんと考えぬまま,ファッションのようにペットを飼う人たちがいます。
そんな飼い主さん相手でも,きっと動物たちはきっと心のそこから慕っていくのでしょう。
どんなにひどい目に合わされても,無垢なまなざしで,一生懸命尻尾を振るのでしょう。
ペットの幸せは飼い主さん次第。
ごくごく当たり前のことですが,このようなときこそ本当に痛感させられてしまいます。
一人でも多く良い飼い主さんが増え,一人でも多く幸せな動物たちが増えると,診療中に説教をしなくてすむんで,本当に助かるんですが,今日も大晦日だというのに,結構な件数のお説教をした気がします。
いっそ動物飼うときに資格試験を行うとか,動物の飼い方の本を一冊読んで,レポート提出しないと飼っちゃだめとか,そんな制度出来ないですかね?
動物飼う人が一気に減って,動物病院が次々倒産したりして・・・
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