もし動物病院に行ったときに「そちらのうさぎさんは、一日ペレットを何グラムくらい食べてますか?」と、獣医さんに聞かれたら、なんと答えますか?
診療をしていると、これはちょっと太りすぎなのでは、という子が、ウサギに限らず、犬でも猫でも見受けられます。
というよりも、全体の中で、ベスト体重!という子はおそらくほんのひとにぎりで、大半の子がポッチャリ系、1割くらいの子が横綱級だったりします。
で、ちょっと太りすぎなのでは、というこの飼い主さんに対して、聞いてみるわけです。
「いったい、一日どれくらい、フードを与えているのですか?」と。
すると横綱級の動物を飼っている飼い主さんの多くは
「大体ひとにぎりです」とか「一回ひとにぎりくらいでしょうか」と答えます。
他にも「これっくらいの容器に、これっくらい」とジェスチャーで表現される方や、
「湯飲みに8分目くらい?」と答えられます。
で、「それって何グラムなんですか?」と聞くと、さぁー?と首を傾げてしまったり、
「今食べているフードの袋には、一日何グラム与えるように書いてあるのですか?」とたずねると、ちょっと見たことありませんねぇー、と返答に詰まってしまいます。
ひどいときには「袋にそんなこと書いてあるんですか?」と不思議そうな顔をされる方もいます。
またあるときは、生後4ヶ月くらいなのに、えらく痩せている子犬がつれてこられて、「一日何グラム与えてますか?」とたずねると「一日25グラム与えるようにペットショップの人に言われました」と即答され
「おうちに来たとき(一月前)は、一日何グラム与えてましたか?」と聞くと
「家に来たときからずっと、一日25グラムです」と自信満々に答えられます。
どうやら、買うときに「一日25グラム与えてください」というペットショップさんのアドバイスを元に、何ヶ月たっても、その量を頑なに守り続けていたようなのです。
幼稚園児の食べる量と高校生の食べる量がぜんぜん違うように、体が大きくなれば、食べる量も増えるということが、ぬいぐるみのようにかわいらしい動物ではちょっと想像しにくいのかもしれません。
ベストとまではいかなくても、許容範囲の体型をしているウサギや犬の飼い主さんに同じ質問をぶつけてみると「一日35グラムです」と明確に答えられる方が多いようです。
こんな仕事をしている背いでしょうが、フードの説明書きをすべて読んでいるということはないにしても、生後何ヶ月の子に一日何グラム与えるかくらいは、読んでいるのかと思ったら、意外なほど皆さん読んでないようなのです。
テレビや冷蔵庫の説明書じゃないのですから、そんないい加減な、と苦言を口にしたくなる瞬間が頻繁にあるのです。
ぜひフードの袋の裏面あたりを見てみてください。
きっと生後何ヶ月の、体重何キロぐらいの子には、一日何グラム(あるいは軽量カップ何杯)を与えてください。と書いてあるはずです。
一日何グラム与えてます。ときちんと答えられるようになっていれば、何らかの病気なり、健康診断で病院に来られたときに、「今の体重はちょっと行き過ぎなので、今日から一日20グラムにしましょうか」とか、「ちょっと痩せすぎのようなので、今日から40グラムにしましょうか」とかアドバイスの使用もあるというものです。
「これっくらいの容器に、これっくらい」といわれても、フードのカロリーもわからなければ、容器の正確な大きさも、これっくらいという入っている状況もわからない。これでは与える量が不適切で、痩せてしまったのか、病気で痩せてしまったのかすらわかりません。
大事な大事なご家族の一員。
あまりアバウトに飼っては、失礼というものです。
2キロにも満たない小さな動物とはいえ、大事な大事な命です。
空腹や、満腹を声に出していえない動物だからこそ、知識を蓄えて、本人の健康の要求に極力応えられるよう、世話をしてあげなければいけないのかもしれません。
自分で健康管理をきちんとできない動物だからこそ、親である飼い主さんが、しっかり管理をしてあげなければいけないのかもしれません。
丸々してれば、かわいいと思ったら大間違いです。
近所の人が「コロコロしてて、かわいいわねー」なんて無責任なことを言ってきても、信用してはいけません。
たとえ飼い主さんがデブ専でも、それをご家族である動物に強要するのは犯罪です。
すらっとして、機敏で、診察するのも一苦労、そんな野生でも生きていけそうなうさぎさんこそ、かっこいいのです。
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