セカンドオピニオンという言葉を最近よく聞くようになってきました。
これは主治医の先生以外に、別の病院での検査、診察を受け、他の病院の意見、診断、治療法などを聞いてみる、というような意味合いです(たぶん)。
人間の病院ではこの「セカンドオピニオン」という考え方がだいぶ定着してきているようですが(といいながらも、まだこれに対して積極的でない病院や患者さんも多いようですが)、動物病院ではまだまだ定着していません。
病院の敷居というのは意外と高いのか、それとも主治医の先生が患者さんを手放したくないのか、患者さんの中には飼い主さんの元に来てから死ぬまで一軒の病院しか行ったことのないという子が結構多いようです。
しかし獣医師は犬、猫の他にウサギやトリなども診なければいけないですし、外科、眼科、内科、耳鼻科、歯科とさまざまな分野も診なければいけないわけで、もちろん獣医師によっては得て、不得手の分野があるものです。
そうすると、ひとつの病院ですべての病気が完全に対応できるわけはもちろんなく、この病気だったらあそこの病院のほうがより良い治療が受けられるとか、この動物はあそこの病院のほうがきちんとした検査が受けられるとか、あの病院に行けばあの検査機械があるからもっと踏み込んだ検査ができるとか、ということが当然のようにあるわけです。
また主治医の先生には手術が必要といわれたけど、本当に別の治療法がないのか、より飼い主さんの希望に沿う治療方法が他にないのか、という疑問を持つこともあるでしょう。
主治医の先生を疑うとかいうのではなく、もしかしたら主治医の先生よりも、その分野に長けた先生が他にいるかもしれないですし、あるいは別の先生の診断や治療方法も同じで、やはり主治医の先生の意見は正しかったという安心を、得ることができるかもしれません。
そういう意味では、動物病院にもセカンドオピニオンという考え方は、もっと広がっていいのではないかと思うのです。
飼い主さんは主治医の先生以外の病院に行くことに罪悪感など感じる必要はなく、もっと堂々とセカンドオピニオンを探すことが許されるはずです。
また獣医師は獣医師で飼い主さんがセカンドオピニオンを希望されたときに、その分野に関してより良い病院に行くことを、もっとバックアップすべきなのではと思うのです。
獣医師にとってできるバックアップというのはいろいろあると思うのですが、セカンドオピニオンについて相談を受けたときに積極的に勧めてあげる、というような単純なことだけでも、だいぶ違うと思うのです。
うちの病院では、主治医の先生の元に帰ったあとも検査や治療の重複にならないよう、検査結果をお渡ししたり、処方したお薬の名前を明細書に細かく記載したりしています。
これは、うちの病院を主治医としてきてくれている患者さんにも必ず行うことにしています。
こうしておけば、もし他の病院をセカンドオピニオンとして選択することがあっても、あるいは他の病院へ転院されることがあっても、患者さんが困らなくて済むはずです。
病気が複雑なときはレントゲンを貸し出したり、カルテのコピーをとって飼い主さんにお渡しすることにしています。
細かいことですが、これらのことをするだけで、だいぶ患者さんは他の病院との行き来がしやすくなるのでは、と考えています。
うちの病院はうさぎの患者さんが回されてくるというのもありますが、深夜の救急対応や、日曜、祝日の診療をやっていることもあって、主治医の先生が別にいて、という患者さんが結構たくさん来られます。
そういう夜間救急や、日祝日に来られる患者さんは遠くから来られる方も多いので、緊急の手術や、応急処置をしたり、あるいは症状が安定するまで治療をして、それ以降はもとの主治医の先生の元へ帰っていただくことも多いのです。
ですから、ぷちセカンドオピニオンのような役割を果たすことが次第に多くなってきました。
なんだかいざというときに頼られるような感じがして、このぷちセカンドオピニオン病院というポジションを結構うれしく思っております。
獣医さんによっては意見は異なるかもしれませんが、私はもっと患者さんはいろんな病院を行き来しても良いと思うのです。
ずっと継続してみてくれる主治医の先生はいたほうが、そのこの変化に気づきやすく、やはり良いとは思うのです。
ただ、意見を聞くために別の病院へ行くことに、ためらう必要はないと思うのです。
主治医の先生への気遣いよりも、大事な大事な家族の命をもっと優先して良いと思うのです。
「来るもの拒まず、去るもの追わず」
そんなドンファンな動物病院が増えて、もっと病院の敷居が低くなれば、と時々思うのです。
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