みなさんは核医学というものをご存じでしょうか?
と言っても、日本の動物医療ではまだ行われていないので、ご存じない方がほとんどかと思います。
人間の医療やアメリカなどの動物医療ではすでに取り入れられているものなのですが、体からすぐ排泄される放射性物質を投与し、それを検出することにより、通常の検査では見つけられないような腫瘍の転移や、骨の炎症、骨折などを早期に発見するというものです。
もの言わぬ動物だからこそ、このような検査技術の発展が何よりも望まれるのですが、日本では動物医療に関する法整備がまだまだ不十分で、いまだに行うことができないと言うのが実状です。
ところが、今年はこれらのことに関する法律の改正が行われるそうで、日本でもこの核医学の検査が行えるようにと、苦労されている先生方がいます。
この法改正の機会を逃すと、また十数年は核医学の使用は無理という見方があり、今年のチャンスを逃すまいと、走り回っている先生方がいるのです。
何で、たかだか一回の機会を逃すと、十数年も待たなければいけないのか、不思議でしかたがないですが、日本の獣医学がなかなかアメリカなどの獣医学に追いつけない理由の一つが、この辺りにもあるのかもしれません。
以前ひとりごとで取りあげた、エンセファリトゾーンの国内検査もそうですが、日本ではまだまだできる検査などに規制があり、本来見つけられるはずの病気を見逃し、治せるはずの病気を治せずにいると思うと、獣医師としてこんなに歯がゆく、悔しいことはありません。
今回このひとりごとで、この核医学について取りあげたのは理由があります。
それは、この核医学の日本での使用を国に認めさせるために、下記のホームページを見てほしいのです。
核医学意識調査(すでにアンケート期間が過ぎましたので、リンクを解除いたしました)
このホームページは核医学の内容を広く知ってもらい、その使用の賛否を問うアンケートのホームページです。
日本でも核医学を!と奔走されている先生が作ったホームページで、核医学に対する簡単な説明と、その賛否を問うアンケートが掲載されています。
アンケートの期限は2003年8月10日と、もうあまり日がないのですが(すでに終わっていた場合は、リンクができなくなっているかもしれませんが)、獣医師に限らず、看護師さんや、動物を飼っている飼い主さんでもかまわないそうです。
もちろん、説明文を読んで、そのような検査など必要ないと思われる方は、アンケートに答えられる必要はないのですが、もし今この文章を読んでいて、ちょっとでも核医学というものに興味を持たれたかたがいたら、ぜひ一度上記のホームページに足を運んでみてください。
日本の獣医学はまだまだ海外の獣医学には及ばない部分が多いのですが、それをただ嘆くだけでなく、必死に追いつき、動物達の幸せにつなげようと、尽力されている先生方が日本にはいると言うことだけでも、知っていただきたいのです。
私のように、ただだらだらと日々を過ごしている人間からすると、本当に頭の下がる思いです。
この文章を読みに来てくださっている奇特な方々(獣医さん、看護師さん、飼い主さんを問わず)に、少しでも興味を持っていただければ、駄文を連ねた甲斐があるというものです。
ちょっとでも良い検査、ちょっとでも良い治療、その「ちょっと」がきっと動物達の大きな幸せにつながるのでは、と思うのです。
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