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アレス動物医療センター

三度の飯よりウサギ好き?

 時々いただく質問メールの中で、「どうして先生はウサギ派なのですか?」というものがあるのですが、実は私はうさぎはというわけではありません。

 もちろんうさぎは大好きですし、うさぎの治療や手術のためなら一食ぐらいは抜けても平気ですが(3食は無理ですが)、では犬や猫に比べて、飛び抜けてウサギが好きか、と問われると、別にそこまでウサギオンリーな人間ではありません。

 ではなぜうさぎのホームページを始めたか(そしてだらだらと何年も続けているか)というと、うさぎの診療にやりがいを感じているからです。

 これも誤解を受けそうで何ですが、当然犬や猫の診療にもやりがいを感じてはいるのですが、うさぎの診療はそれと同じくらいやりがいがあるのです。

 そんなの当たり前じゃないかといわれてしまいそうですが、一般の開業医は、犬の医者であり、猫の医者であり、うさぎの医者であり、鳥の医者であり、あるいは外科医であり、内科医であり、泌尿器科、眼科、耳鼻科、歯科とあらゆる範疇を一手に担わなければなりません。

 スタッフルームには辞書のような外科の本や内科の本、眼科、歯科、ウサギ、鳥、皮膚・・・と山ほどあるわけですが、本は毎月新しいものが発行され、外国からは英文が届き、全部の本をすべて網羅できるかというと、これは体が一つで1日が24時間しかない以上、はっきり言って無理です。

 そうなると、どうしても重点的に読んでしまう本と、そうでない本、あるいは重点的に勉強する診療科目と、そうでない科目が出来てしまうわけです。
 うちの病院はウサギが多いとはいえ、それでもやはり犬が一番病院には来るわけで、当然そちらを優先するのが、経営者としては当然あるべき姿ですし、そうでないと病院は成り立たないのでしょう。

 ただ、それでも犬や猫の勉強の時間と同じだけの時間をウサギにあてがうだけのやりがいが、うさぎの診療にはあると思うのです。

 犬や猫は近所のペットショップでもかなり質のいいフードが手に入り、ワクチンなどもかなり普及し、獣医学も発達して、人間同様平均寿命がぐんぐん延びています。
 以前は10歳くらいまで生きたら長生きとされていた犬や猫は、最近は15歳くらいまで生きないと何となく物足りなく感じるくらいです。
 15歳というと、人間で言えば70から80歳と言うところでしょうから、かなり良いところまで来ていると言って良いでしょう。
 今後もきっと平均寿命は延びていくとは思いますが、若干研究され尽くした感もあり、ここからは15歳の寿命を16歳まで延ばす、というような努力になってくるでしょう。
 それはそれで十分意義のあることですし(犬にとっての1年といえば人間にとっては4年くらいに値するのですから)、やりがいのある診療であるのですが、うさぎの現状はもっとシビアです。

 本来は10歳くらいまで生きられるはずの力を持ちながら、5,6歳を越えると立派ねと褒められ(当然立派なのですが)、4歳くらいで子宮癌などで死ぬ子も多いですし、2,3歳で不正咬合が原因で命を落とすこともあれば、生後3ヶ月も過ぎずに力つきてしまう子達もたくさんいます。

 平均寿命が今どれくらいかはわかりませんが、生後5ヶ月以内にお亡くなりになるうさぎさん達を入れれば、下手すると平均寿命は3歳くらいしかないのかもしれません。
 単なる感覚的な数値で、本とは全然違うかもしれませんが、少なくとも平均寿命が5歳を越えていると言うことは多分ないでしょう。
 つまりうさぎさん達は、人間で言うところの40から50歳くらいで命を落としている子が多いと言うことです(実際はもっと若くしてと思うのですが)。

 ウサギが命を落とす病気のうち、腫瘍以外の死因というと、おそらく食事や生活環境などの飼い方の問題がほとんどでしょう。
 食事の問題による不正咬合、下顎膿瘍、上部呼吸器感染症、太りすぎによる飛節膿瘍、カルシウム過剰による膀胱結石、早すぎる親離れによる幼弱うさぎの死、もしこれらの病気がこんなつたないホームページなり、私の微々たる診療なりでなくなる(のが無理だとしても、減ってくれる)だけで、うさぎの寿命ってすごく伸びるのではないか、という非常に単純な理由なのです。
 
 まあ実際はそんな簡単なものでは当然ないのでしょうが、15歳のワンちゃんの寿命を16歳にするやりがいに負けない魅力が、5歳のうさぎの寿命を10歳にする診療にあるのではないかと思ったのです。

 一件、一件うさぎの診療に来られた方には、うさぎの飼い方やフードのお話をするのですが、どうしてもこれでは伝えられる人数に限界があり、そういう意味ではホームページという形態はすごくうさぎの平均寿命を延ばすという意味では、意味があるような気がするのです(単なる思いこみかもしれませんが)。

 犬にとってはワクチンやフィラリアの薬が病気を回避するための予防なのかもしれませんが、ウサギにとっての予防とは正しい飼い方、正しいフードの啓蒙なのではとたいそうなことを考えることがあります。

 こんなホームページで全国のうさぎさんの寿命が延びるはずはないのかもしれませんが、もし数十年後にうさぎの平均寿命が7歳くらいになったら、そのときは「このうちの5日間くらいは、このホームページが貢献してるかも」と勝手に思うことにしています。
 思うだけなら自由ですからね。



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