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アレス動物医療センター

災害の中で動物病院ができること

2024/1/11

 新年明けましておめでとうございます。
 あまりめでたくないスタートが続いていますが、それでも1年の始まりです。
 例年通り年末年始は県外からの患者さんがたくさん来院されていましたが、今年はいつもとちょっと違いました。
 忙しさも例年をはるかに超えていた気がします。

 安否確認のメールやメッセージたくさんいただいたのですが、返事が遅くなり、あるいはできておらず申し訳ありません。
 けしてケガをしたとか、病院が崩れたとか、片付けに追われているとかいうわけではありません。
 普通に診療に追われているだけです。
 たくさんの方にご心配をおかけしましたが、僕も家族もスタッフも患者さんも病院もまったくと言っていいほど被害はありませんでした。
 同じ高岡市でもこれほど被害に差があるものかと、ニュースを見るたびに思います。

 12/31、1/1の昼まではいつも通りの診療でした。
 いつものように里帰りと思われる東京や大阪の方が親戚の集まりか何かで、余計なものを食べさせて、やれ下痢をしただの吐いただの。
 やれ猫の尿が出ないだの、犬の後ろ足が立たないだの。
 例年通り、両日とも時間外の手術をして『ああ、例年通りの年末年始だな』とか思っていたら、あの地震です。
 立っているのも難儀な状態で、診療後の救急手術も余震で揺れる中やる羽目になってしまいました。

 翌日からまあ来るは来るは食欲のないうさぎや嘔吐の止まらない猫、下痢が続く犬と体調不良の患者さんが急増。
 中には避難所生活になってしまった子たちもいるようで、飼い主さんを含めそのストレスたるやいかばかりのものかと思います。
 そしてその波は1/4あたりまで続きます。
 うちのハニワさん(輸血犬)は、散乱したおもちゃやボールに『いったいどれで遊んだらいいのか!?』と、楽しそうなパニックになっていたそうですが、皆が皆そんなノー天気な生き物とは限らないのです。

 おそらく地震のストレス(の中に親戚のおっさんがいらんものを与えての体調不良のこがまぎれて)なのでしょうが、何分あの地震です。
 建物の被害を受けた動物病院もあれば、そこまでではなくとも病院内がもので散乱して後片付けに追われる病院も出たようで、多くの動物病院が機能不全に陥ったようです。
 そもそも年末年始で1/3まで予定通り休診だった病院も多かったでしょうから、新潟、岐阜、石川、福井と近隣県外の患者さんが急増しました。
 特に石川北部からご来院いただいた飼い主さんたちは、無事たどり着けるのか、通常以上に長時間かかって余計動物にストレスを与えるのではないかと、ずいぶん悩まれた方もいたのではないでしょうか。

 病院自体は無事でも、正月明けの大量の医薬品、フードを納品する予定の卸業者が被災して思うように物が届かない中での診療。
 いざ災害にあってみると、当たり前ですが自分だけが無事でも社会も仕事も回らなくなるということを実感します。

 まあ、被災地まで救援に行けるほどのフットワークもコミュ力も財力も体力もない身です。
 せめて主治医の先生が通常診療に戻れるまでは、大切な患者さんを守る代打を務めることでプチ支援ということにさせてください。
 できることはいつも通り出勤し、手持ちの物資で淡々と手術や診療を行うだけです。
 ちなみに今は何の物資も不足していないので、ご心配無用です。

 天災ばかりは人の力の及ぶものではないですから、受け入れるしかないのでしょうが、実際大きな被害にあわれた方のことを思うと本当に心が痛くなります。
 少しでも早く元通りの日常に戻ってくれればと祈るばかりです。

 まあ、どうでも良い話なのですが、今年の3月に七尾市の加賀屋さんで妻と結婚10周年を祝おうと決めておりました。
 3月までに復旧できるかは全く分かりませんが、もし泊まることができるようでしたら、精いっぱい散財して少しでもお力添えができればと思っております。
 まあ、僕の散財なんてたかが知れてるんですけどね。


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