忙しい日常に追われていると、ついつい堕落してしまいます。
3カ月に1回の連載原稿、2週に1回のyoutube動画、月1回のコラム(は遅れがち)と締め切りがあれば、何とか頑張れるのですが、締め切りのない仕事はついつい進行が遅くなってしまいます。
まあ人にもよるのでしょうが、少なくとも私は夏休みの宿題を8月末に一気にやっつける人間だったので、三つ子の魂百までということなのだと思います。
youtubeを終えてから、書きかけの【うさぎの診療書】を執筆再開したのですが、まあ遅々として進まずなのです。
そもそも執筆依頼されたわけでもないですし、書き上げたからと言って出版のめどが立ってもいないものですから、当然締め切りはありません。
いいとこ1日1時間執筆に時間が取れれば、我ながらよく頑張ったというくらいです。
だらだらと書いていると、新しい治療方法や、手術方法、新薬の情報などが入ってくると、途中まで書き上げたものがまた大きく内容が変わってしまう。
この手の作業はどこかで踏ん切りをつける(別名妥協する)必要があるのですが、間違った情報を書いて、それが後々まで書籍という形で残るのは耐えられないと、ついつい推敲を重ねてしまう。
これ引退までに書き終わるのかなとちょっと不安になるくらいです。
そんな折、久しぶりに日本獣医エキゾチックペット学会のセミナーに参加してきました。
コロナ以前に参加して以来ですから(コロナ下ではzoomセミナーだったので)4年ぶりくらいの対面セミナー参加です。
コロナのおかげというとよろしくないのでしょうが、コロナの影響でほとんどの学会のセミナーはweb配信となり、富山から東京や大阪まで出向かなくても受講できるようになりました。
これは地方獣医師には非常にありがたいことで、仕事を休まなくてよいし、交通宿泊費もかかりません。
自分の空いた時間に見ればよいので、自由も聞きます。
今回のエキゾチックペット学会セミナーもweb配信はあったのですが、たまには外に出て他の獣医さんたちと触れ合おうと、大阪に頑張っていってきました。
軽く迷子になりながらギリギリ会場に飛び込むと、エキゾ学会の重鎮【兵庫のビッグマグナム先生(仮名)】が、「おっ!久しぶりだね」と声をかけてくださいました。
僕なんかよりはるかに忙しい先生が、当たり前のように会場に足を運んでいる!
web配信で視聴しようか迷っていた自分が恥ずかしい!!
会場に入ると、いくつもの協賛メーカーさんがブースを構え、露店のように商品の即売を行っています。
その中にエデュワードプレスという獣医学書を出版している会社がありました。
僕が7年前に【できる!!ウサギの診療】という本を執筆、出版してもらった会社です。
そしてそのブースにまだ僕の本が平積みで販売されていたのです。
『うれしい!ありがたい!!』と思う反面、もう7年も経っているので、僕の中では古い手術方法だったり、古い知識だったり、あるいは古い薬の使い方だったりというのが、当然のように(そしてさも正しいかのように)書かれているのが、とてつもなく恥ずかしくなってしまいました。
連載の締め切りに追われながら、絞り出すように執筆した本が、まるで自分の代表作のように7年たっても売られ続けていることにも、よろしくないのではなかろうかと思いました。
セミナーを終え、懇親会という名の飲みにケーションに赴きます(下戸なのに)。
僕の知らない若手の先生が、キラキラとした目でエキゾチック診療について語り合っています。
岡山県の大御所は何年、何十年もかけてたどり着いたテクニックを、たいして酔っぱらっているわけでもないのに惜しげもなく教えてくれます。
僕が富山県で日常業務に追われて、怠惰な生活をしている間に、世の中はどんどん回り、年齢に関わりなくストイックに努力し、成長し続けている人たちがたくさんいるのです。
確かに交通費もかかる、宿泊費もかかる、翌日朝一で職場に戻って診療をするのは超だるい。
でもzoomでは得られない刺激が会場にはやはりあるのです。
今後もできるだけ会場に足を運ぼうと、改めて思いました(スタッフが許してくれる限り)。
今どきといわれるかもしれませんが、飲みにケーションの中で得られる知識も、捨てたものではないのです。
みんなが一生懸命頑張っている姿は、もっとお前も頑張れと強い刺激になります。
お金と時間には代えられない、得られるものが確かにあるのです。
もう少し本腰入れて執筆頑張ろうと改めて思いました。
堕落はいけません。
かの鳥坂さんだって言ってます「間抜けは仕方ないが、堕落だけはいかん」と
〒933-0813
富山県高岡市下伏間江371
TEL 0766-25-2586
FAX 0766-25-2584