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アレス動物医療センター

取っておいた薬

2022/5/5

 病院でお薬を処方するとき、それは必要なお薬であって、無意味に出している薬ではないのです。
 クスリはちゃんと出された分は飲み切りましょう

 先日うさぎの膀胱炎の患者さんがやってきました。
 実はそのうさぎさんが膀胱炎になるのは2回目で、再発した!と来院されました。

「3日前からまた血尿が出始めて、前回出してもらったお薬が1週間分残ってたから、とりあえず飲ませていた」と
『???どういうこと?』
 前回出した薬が残ってたって、何?

 そのうさぎさんが始めてやってきたのは2か月前でした。
 「血尿が出て、いろんなところでおしっこをする」とのことで、検査の結果膀胱炎の可能性が高いという診断になりました。
 治療として抗生剤を1週間分出したところ、尿検査で血が出なくなったので、追加2週間分の抗生剤をお出しし、2週後に尿検査と再診をお伝えしました。

 結局2週後の再診には来院されなかったのですが、飼い主さん曰く
「追加分のお薬を1週間飲ませた時点で、何の症状もなかったから、残りの1週間分は万一に備えて飲ませずに取っておいた(保存しておいた)」と
 
 何じゃそりゃ、とは思うのですが、結構よくある話なのです。
 抗生剤を長々と飲ませることに対する不安もあるのかもしれませんが、治療途中で投薬をやめて、【いつか、万一に備えて】その薬を取りよけておくということらしいです。

 いやいや、そういう意味で2週間分出してるわけじゃないから
 五日のための常備薬として出してるつもりじゃないから
 そもそも2か月前に調合した薬を何の躊躇もなく飲ませるなよ
 腐ってたらどうするんだ

 と思うのですが、飲み薬にせよ、目薬にせよ、取りよけておいた薬を1月後とか、半年後とか、何なら2年後とかに平気で使っちゃう飼い主さんがいるのです。

 そもそも2週間分追加のお薬を処方するのは、その2週間の投薬が重要だと思っているからです。
 別に『金儲けのために、追加で2週分薬出しちゃえ!』とか思っているわけではありません。
 その子にとって獣医師が必要と判断して出している【飲みきらなければいけない薬】なのです。

 例えば年に数回発作が出るうさぎさんで、その時だけ使うために常備薬として抗けいれん薬を処方することはあるかもしれません。
 それはそもそも「発作が出て5分経っても止まらなかったら使ってね」と説明している常備薬です。

「あと2週間薬を飲ませてくださいね」という言葉は、そのままの意味です。
『調子が良ければ、1週間分飲ませずに、いつかのために保存しておいてね』なんて意味は含んでいません。
 富山の置き薬とは違うのです(今どきの子は知らないか)。

 薬を症状もないのに2週間も飲ませることに不安を感じるのであれば、勝手にやめる前に「先生に出してもらった薬まだあるんですが、症状全然ないし、早めにやめちゃダメですかね?」と相談すべきです。
 そうしてくれれば、なぜあと2週間の薬が必要なのか、それを途中でやめることのほうがなぜ危険なのかをちゃんと説明します。
 家族会議で「もう症状ないからやめていいんじゃない?」「確かに確かに、うさぎに抗生剤よくないって聞くしね」「やめちゃえやめちゃえ!」とかいうのはなしです。

 治療方針や、薬に不安があったら、家族会議をする前に主治医の先生に相談する。
 勝手な行動をとって、事後承諾にしない。
 我慢強い動物のことですから、一見症状がなさそうでも、何か隠している可能性だってあるのです。
 こと命に関わることですから、とても大事なことだと思うのです。

 まあ、治療方針や、処方される薬に不安を感じるような主治医の先生なんだったら、「この先生が出す薬には意味があるに違いない!」と信じられるくらいの動物病院に転院したほうが良いかもしれませんけどね。


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