最近エセユーチューバーになって、動画のコメント欄に今まであまり受けなかった質問を受けるようになりました。
「グルテンフリーのフードってどうですか?」とか
「アルファルファフリーのフードってどうですか?」とか
「牧草代用ペレットってどうですか?」とか
あまり耳慣れない単語をよく聞くようになりました。
メーカーも色々と新しい言葉を拾ってくるなぁというか、新しいムーブメントを作ってくるなぁというか、日本の商魂たくましさがチラチラ見え隠れしないでもないですが、とりあえず「グルテンフリーってどうですか?」と聞かれたら
「よくわかりません」と答えています。
グルテン(小麦とかライ麦から生成されるタンパク質の一種)がうさぎに有害か?と聞かれるとそれを明確にした文献は見たことがないです。というのが僕の返答です。
単に見逃しているのかもしれませんが、目にしたことはないです。
もちろん炭水化物(特に糖質)はそもそもうさぎに良くないわけですから、小麦が入ってないのはそれはそれで良いでしょうねと思うのですが、じゃあ小麦は入ってないけど代わりにとうもろこしとか米とかえん麦とか別の炭水化物が入っているのであれば(って、入っているんだと思うのですが)、そんなに差があるもの?
という疑問は浮かびます。
例えば20%小麦が入っているペレットと、トウモロコシが10%だけ入っている(けど、小麦は入ってない)ペレットを比較すれば、当然炭水化物が少ないトウモロコシ10%のペレットのほうが体に良いはずです。
これはグルテンフリーだからではなく、炭水化物が20%から10%に減っているからであって、グルテンフリーだからかどうかはこの時点ではわかりません。
グルテンフリーが体に良いということを証明しようと思ったら、小麦10%入っているペレットと、トウモロコシ10%入っているペレットと、米10%入っているペレットを3つの群に分けたうさぎさんたちに十数年与え続けて、その差を比較しなければいけないわけです。
小麦が大量に入っているペレットと、小麦は全く入ってないけどとうもろこしがちょっと入っているペレットを比較しても、しょうがないのです。
ですから、そういう研究がされて、それで「小麦10%よりトウモロコシ10%のほうがめっちゃいい!」という結果でも出ない限りは
「グルテンフリーってどうですか?」と聞かれたら
「よくわかりません」と答えるしかないのです。
うちのホームページでグルテンフリーのベッツセレクションをお勧めしているのは単に粗繊維の割合が高くて、小分け包装が便利だからであって、グルテンフリーだからおすすめしているわけではないです。
いつか本当に研究が進んで、グルテンフリーが良いと言われる日が来るのかもしれませんが、それまでは「良い」とも「悪い」とも言わない中立な立場でいなければいけないと思っています。
じゃあなぜこんなにグルテンフリーとかアルファルファフリーとかそういう言上が出回るようになったのかというと、正直良くわかりません。
もしかしたらメーカーさんには、何か経験的に良いような気がすると思っているのかもしれません。
ただ、何分こんな仕事を長らくやっていると、すっかり物事を斜に構えて見る癖ができてしまっているのです。
純真で、素直な心が失われてしまったのです(単に年齢的なものかもしれませんが)。
先日ペットショップに行ったら、新しい国産ドッグフードが出ていました。
袋の裏側を見ると、きれいな小麦畑の写真と、サシの入った美味しそうな牛肉の写真が載っていました。
で、小麦畑の下には「国産小麦使用」と書かれているのです。
で、牛肉の写真の下には「良質な牛肉」と書かれているのです。
で、すっかり心が汚れてしまった獣医師はふと思うのです。
『牛肉はどこ産?』と
別の陳列棚を眺めていると
「ダックスフンド専用」と書かれたフードが売られていました。
そこから少し離れたところに「シーズー専用」と書かれたフードが売られてました。
で、すっかり心が汚れてしまった獣医師はふと思うのです。
『何が違うん?』と
だって、ダックスフンドもシーズーもどちらも、「関節疾患、アレルギー、心不全が発症しやすい小型犬」という意味では全く同じなわけで、見た目は随分違うけど、実はよく似た犬種なわけです。
なら「ダックス専用」「シーズー専用」じゃなくて、「ダックス&シーズー専用」でもいいじゃない?
いやわかんないですよ。
もしかしたら国産の牛肉かもしれないし(その割に安かったけど)、もしかしたら僕が知らないだけで、ダックスとシーズーでそれぞれ適した栄養成分という論文がどっかにあるのかもしれないし(見たことないけど)。
これはもう職業病なのです。
ついつい裏を勘ぐっちゃう。
僕の悪い癖(杉下右〇風)。
グルテンフリーだって、アルファルファフリーだって、牧草代用ペレットだって(なんだそりゃ)、僕が知らないだけで、ちゃんとした論文がどこかにあるのかもしれません。
先日自宅に帰ったら、妻が「新しい餃子買ってみたの!」と明る迎えてくれました。
「え?どれどれ?」とそのパッケージを見ると
黒豚餃子とデカデカと書いてあるわけです。
で、よくよく見ると小さく「入り」と書いてあるのです。
黒豚(入り)餃子
で、悪い癖が出るのです
『黒豚何%?』
と
大丈夫です。
安心してください。
それを口に出せばどうなるかくらい、さすがの僕でもわかります。
「やったー!すごいね!!黒豚の餃子だって!!!」
とウキウキしながら食べました。
大変美味しゅうございました。
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