先月うちの病院に研修に来ていた若い獣医さんは春から奄美大島の動物病院で働く予定の先生でした。
うさファンにはおなじみかもしれませんが、日本のうさぎ聖地の一つ奄美大島です。
奄美大島と言えばそうアマミノクロウサギですね。
って、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、アマミノクロウサギとは国の特別天然記念物に指定されているうさぎです。
その子育てがかなり変わっていて、巣穴に子うさぎを1人残し、母うさぎは2日に1度授乳に訪れるという、珍しい育児行動をとるのです。
たった5分間の授乳のために巣に戻ったお母さんは、授乳後30分以上もかけて巣穴の入り口をふさいで子うさぎを外敵から守るという、なんとも温かみのある行動をとるそうです。
この変わった育児行動を絵本にした作品が、いもとようこさんの「とんとんとんのこもりうた」で、僕の大好きな絵本の一つです。
僕も死ぬまでには一度は見に行きたいと思っていますが(見たいと思って見られるものなのかは知りませんが)、彼はアマミノクロウサギを「見る」のではなく「診る」のです。
その先生のお話ではとても悲しいことですが、アマミノクロウサギが交通事故や他の動物(犬や猫)に襲われて、動物病院に搬送されてくるそうで、ほとんどが手の施しようがないくらい状態が悪いとのことです。
それでも何か出来ることはないかと、わざわざ富山まで勉強しに来てくれたわけで、短い期間でしたが、できるだけ伝えられることはお伝えしたつもりです。
彼がもし将来その知識や技術をもって、アマミノクロウサギを助けられることがあったら、それは僕が治したといっても過言ではなく(どう考えても過言ですが)、そう思うとちょっとロマンがあるじゃないですか。
そんな野生のアマミノクロウサギって、凶暴で治療とかできないんじゃないですか?と聞いてみたところ(以前うちの病院に担ぎ込まれてきたタヌキはドン引きするくらい大暴れしていたので)、アマミノクロウサギは奄美大島というあまり強い外敵がいない環境で育っているので、むしろ大人しいらしく、そら犬猫や自動車に出くわしたら
ひとたまりもないわなという可哀想な境遇だそうです。
彼が勤める動物病院はアマミノクロウサギを専門で見る動物病院ではもちろんなく、普通に犬や猫を見る動物病院です。
一般診療と野生動物の両立はとても大変だと思うのですが、一匹でも多くのアマミノクロウサギを助けてあげてもらえたらと思います
でも一番いいのは、事故にあうアマミノクロウサギが一匹でも減って、動物病院に担ぎ込まれなくなるのが、理想なのかもしれませんね。
久しぶりに「とんとんとんのこもりうた」を読みたくなりました。
家に帰って奥さんと一緒に読んでみようと思います。
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