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アレス動物医療センター

やたらと増えたカビの皮膚病

2020/11/11

 病気にもブームのようなものがあって、最近やたらとみるようになったのが皮膚糸状菌症というカビの皮膚病です。

 これはウサギだけではなくて、犬も猫も、ハムスターも、ハリネズミもやたらと感染している子を診るようになりました。

 ちなみにこの皮膚糸状菌という病気は人間にも映る病気で、人間では「白癬」とか「たむし」と呼ばれています。

 うちの飼い主さんの中でもうつってしまった人がいて、両手に結構ひどい皮膚のただれが出てしまいました。

 うさぎや犬、猫ではそこまでひどい症状は出ず、脱毛して、ふけっぽくなり、痒みもある子もいれば、痒がらない子もいるくらいなので、人間に比べるとかなりマイルドな症状です。

 もともとあった病気ですし、20年前もちらほら皮膚糸状菌の犬は見かけましたが、当時はそんなにたくさんきた印象はありません。
 ところがここ4〜5年?とにかくよく来るのです。

 一番よくみるのがハリネズミです。
 ハリネズミはなぜかしょっぱなからダニと皮膚糸状菌を持っている子が多く、ふけっぽいとか体を痒がっているとか針抜け(ハリネズミでは毛じゃなくて針が抜ける)がひどいという子を検査すると、大体ダニとカビが見つかります。

 猫も結構多く、これに関しては案外野良猫ではなく、血統書付きの高そうな猫さんで、一切外出もしたことがない、という子が案外感染していたりします。

 ついでよくみるのが犬とうさぎで、ハリネズミほどではないですが、以前はめったにお目にかからなかった皮膚糸状菌が結構頻繁に来るようになりました。

 ほんの一時のものであれば「ブーム」という表現でも良いのかもしれませんが、4〜5年も続くと、もはや「ブーム」というより、当たり前によくある病気ととらえたほうが良いのかもしれません。

 これが富山県だけの話なのか、北陸だけの話なのか、日本全国共通の話なのかはよく分かりませんが、本当によく来るのです。

 自宅でハリネズミとうさぎを飼っていて、うさぎに感染した、という話であればそれは自宅内感染ということになるのでしょうが、自宅にうさぎしかおらず、家に来てまだ1〜2週間程度で発症したウサギさんは、どこからもらってきたんだという話になります。

 親うさぎさんからもらったのか、ペットショップで同部屋(ケージは違うけれど)のハリネズミからもらったのか、はたまたおとうさんがたむしなのかはわかりませんが、うさぎの毛が一カ所やたらと薄かったり、ふけっぽかったりというときは、ひょっとして?と考えなければいけないのかもしれません。

 ちなみに首の後ろや肩の後ろの脱毛はカビよりもダニのほうが多いです。
 多いですけど、検査をするとやっぱりカビだったというオチ(あるいは両方いたというオチ)もあるので、大事なのはやはりきちんと検査するということなのかもしれませんね。

 これが全国的な話でなければ良いのですが、時代とともに獣医学も飼育方法も進歩していかなければいけないはずなのに、古い病気がやたらと増えてくるというのは、あんまり良い話ではない気がします。

 

 

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