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アレス動物医療センター

鼠径ヘルニア実は痛い(実感)

2020/9/30

 一昨日手術を受けました。

 いや動物病院だから手術をするのは当たり前だろう、と思われるかもしれませんが、いえいえ違います。
 手術をしたのではありません。
 手術を受けたのです(私が)。

 病名は鼠径ヘルニア。
 いわゆる脱腸です。

 1日立ち仕事をしていると左の内股あたりが膨らんできて、押すと戻る(戻るときに腸のガスが動くのがゴニョゴニョいう)。
 ここ1月でちょっと悪化してきて、最近はくしゃみしたり、鼻をかんだり、咳をすると腹圧がかかって、ポコンッと出る(書いてるとちょっと怖いなぁ)。
 診察中にそっとポケットに手を入れて、押し戻したり、出てこないように抑えてたり。
 
 1月前から通院し始めて、一昨日とうとう手術してもらいました(人間の病院で)。

 うさぎでも鼠径ヘルニアはときどきあって、大体未去勢、高齢の男の子で、こちらは男性ホルモンの影響が疑われています。
 ああ、ぼくも未去勢、中高齢の男の子だから、なったんだなと思いましたが、お医者さんに話して変に話が弾んでも困るので、言いたい気持ちをぐっとこらえました。

 犬でも鼠径ヘルニアは結構あって、こちらは先天性のものがほとんどです。
 この場合、避妊手術や去勢手術の時に一緒に塞いでしまうのですが、ずっとこの鼠径ヘルニア、痛くない病気だと思っていました。

 犬やウサギの鼠径ヘルニアの子は元気に走り回って、食欲もあるし、特にヘルニア部分(脱腸部分)をなめたり気にしたりするそぶりもない。
 なので、飼い主さんに「これって痛いんですかね?」と聞かれても
 「内臓脂肪や腸が出たりへっこんだりしているだけなので、たぶん痛くないんだと思いますよ」と応えていたのですが、自分がなってみて初めて知りました。
 
 ぼちぼち痛いです。

 自分が鼠径ヘルニアになって気づいたこと、「鼠径ヘルニアって、実は痛かったんだ」ということです。
 よく犬やウサギはこれで平然としているなと思いますが、たぶん僕と同じ程度の痛みは感じていたはずです。

 診断を受けてから手術までのこの1月、まあ憂鬱。
 激痛というほどではないですが、鈍い痛みがずっとある不快感だったり、憂鬱さだったりというのは、地味につらいのです。
 
 今は手術を受け、手術の痛みは多少ありますが、ようやくこの1月間の憂鬱さから解放されるという思いで、晴れ晴れとしています。
 だって、ほっといても治るはずないんですもの。

 今までも基本鼠径ヘルニアや臍ヘルニアは手術を勧めてきましたが、今度から胸を張って勧められます。
 「早く手術してあげたほうが良いですよ。意外とこれも痛いんですよ」と

 このエピソードトークを早く試してみたくてうずうずしていたら、今日ちょうど(?)鼠径ヘルニアの犬が診察に来たので、早速
 「これ実は痛いんですよ。僕もおとついこの子と同じ鼠径ヘルニアの手術受けたんですけど、激痛ってわけでもないんですが、地味に痛いんですよ。
 実際なってみないとわかんないものですね。
 この子も早く手術したほうが良いと思うんですよ」
 とインフォームドコンセントのトークに取り入れてみました。
 ただどうも飼い主さんのリアクションは今一つです。

 このトークをした後、「えぇ〜!!!?」と飼い主さんは本気で僕を心配する表情になってしまい、それ以降のインフォームドコンセントの印象が薄れてしまったようです。
 話していても上の空というか、肝心の患者さんの話が入っていかないというか。

 エピソードトークはわかりやすく飼い主さんに説明するうえで、結構重要で、インフォームドコンセントの際に日ごろからよく使うのですが、エピソードトークのインパクトがありすぎると逆効果ですね。
 飼い主さんの気持ちが診療から離れてしまう。

 でも自分も初めて受けた全身麻酔だったので、鼠径ヘルニアにせよ、全身麻酔にせよ、何か今後の診療に役立てられないかと思います。

 何かの役にと言えば、鼠径ヘルニアの縫合部位を覆っている透明な保護剤がすごく良い感じなのです。
 シャワー浴びてもびくともしないし、これ動物にも使えないですかね。
 剥がすときに痛くなかったら、手術してくれたお医者さんに保護剤の名前聞いてみたいです。
 見たことないものなんですよね。
 高いのかな??? 

 

 

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