5月に入って病院の診療時間を変更しました。
以前は午前10時〜13時と午後17時〜20時だったのですが、午前10時〜13時と午後16時〜19時に変更したのです。
午前3時間、午後3時間という診療時間は変わりないですが、1時間早く病院を閉めるようにしたのです。
はたから見るとそんなたいそうなことなの?と思われるかもしれませんが、決心するにはずいぶん勇気が必要でした。
何しろ大阪の修行時代からその時間帯で診療をしていたので、独立開業した時も何の違和感もなく同じ診療時間でスタートし、今に至るのです。
この仕事に従事し始めてから23年、ずっとこのスタイルでやってきたわけです。
開業当初は大型ショッピングモールで開業した影響もあって、県外の患者さんも多く、それは今もそのままです。
何しろ患者さんの半分は市外の方なわけで、19時に病院を閉めてしまっては病院に間に合わない方々も出てくるのではないかと思いました。
うちのことを信頼して、遠路はるばるやってくる患者さんを切り捨てることになるのではと。
さらに経営的なことを言えば(生々しいことを言えば)、単純に動物病院の売り上げが落ちて、従業員の給与も含めぼちぼち厳しいことになるのでは、と心配していたわけです。
それでもこれを決断したのは、単純に自分たち(当院)の都合です。
開業して18年目に突入し、初期メンバーも私同様ぼちぼちの年齢になってきました。
私を含め、家庭もちのスタッフも9人になり、きっと今後も結婚なり出産なりするスタッフが増えてくることでしょう。
しかも内二人は新幹線の定期持ちです。
20時に診療を終えても、下手すると22時以降に帰宅するのもざらというスタッフもいます。
やはりこれはまあ、健全ではないなぁと思ったわけです。
世の多くの会社が17時だか18時に終業し、残業するのもはばかられる働き方改革とか何とか云われている時代に、職業柄しょうがないとはいえ、あと20年このスタイルを貫くのは厳しいなぁと思ったのです。
開業した当初は富山県で日曜祝日に開院している動物病院はなかったですし、夜間救急対応もほとんどなかったかもしれません。
ですからうちみたいなコンビニ的な動物病院が1軒くらいはあっても良いではないかと思っていました。
ただ最近では新しく開業される動物病院さんも当然のように日曜祝日診療し、中には深夜まで病院を開いてくれているとこまで出てきました。
もうそろそろこっそりフェードアウトしても良いのではないかと思った次第です(ここで書いたらこっそりでも何でもないですが)。
若者たちよ、あとは任せた…
たかだか1時間変わって何か変わったのかというと、意外と大きく変わりました。
まず単純に睡眠時間ができました。
ほぼ毎日ちゃんと6時間以上寝ています。
めっちゃ健康的です。
2s痩せました。
今まで晩御飯は21時か下手すると22時だったので、喰ってすぐ寝るというのがなくなりました。
多分嫁さんも痩せてきているはずです。
確認は取っていません。
嫁さんと一緒にダラダラ過ごす時間が増えました。
何も生み出さないかもしれないけれども、私にとってはとても幸せな時間が増えました。
嫁さんがどう思っているかは知りません。
朝早くに出勤できるようになりました。
診療前に事務仕事がほとんど終わり、診療と手術に専念できるようになりました。
それなのにひとりごとの更新が遅れるのはなぜでしょう。
そして何より毎日1時間多く勉強ができるようになりました。
今まで診療と診療の合間や、運良く早く帰れた日にだけ勉強できていたのが、今は当たり前のように毎日勉強時間をしっかりとれるようになりました。
20〜30分しか勉強できなかったのが、1時間20〜30分毎日勉強できるようになるというのは思いのほか大きな変化でした。
買ったけれども軽くしか目を通せてなかった獣医学書を読み漁り、今まであまり力を入れてこなかった分野にも手を広げることができ、撮りためた手術写真や資料をまとめ、頼まれてもいないうさぎ診療の原稿を書き…
それが毎日できるのです。
すばらしい!
勉強ってこんなに楽しかったんだっけ!?なんで学生の頃気づかなかったんだろう?
時間があり余ってたからなのか、時間の大切さに気付いてなかったのか、今はとにかく勉強ができることが楽しいのです。
ありがたいことです。
ただ私のこの幸せのせいで、しわ寄せをくってご迷惑をかけてしまった患者さんが少なからずいることはよく理解しております。
私の睡眠時間と、健康と、夫婦仲と、勉強時間の犠牲者がいることは忘れないようにと思います。
そのご迷惑にお応えできるだけの知識と技術と診療精度の高さを身につけなければと思います。
この急激な変化に、どの飼い主さんも文句ひとつ言わずに受け入れてくれました。
なんてうちの患者さんたちは優しいんだろうと思います。
もしかしたら「コロナの影響で時間変更したのかしら」と勘違いしているのかもしれませんが、それならそれで良いです。
そのまま気づかないでください。
〒933-0813
富山県高岡市下伏間江371
TEL 0766-25-2586
FAX 0766-25-2584