先月病院を辞め、今はのんびり過ごす毎日ですが、たまにはこんな時期も良いもんだなと今は思っております。
思えば大学を卒業してからずっと同じ病院で働き、右も左もわからない状態から、ただがむしゃらに働き続けてきたような気がします。
動物とはいえ医療の現場ですから、それこそ盆も正月もありません。
実家に帰れるのも一年に一度あるかどうかで、帰ったとしても2泊3日が関の山でした。
墓参りも長らくしてないですし、クリスマスイブも年越しも病院で過ごしていました。
・・・と書いていると、結構過酷な仕事のような気もしますね(働いているときには気づきませんでしたが)。
それがこの一月間はずっと休みです。
開業準備でばたばたしなければいけない日もありますが、好きな時間に起き(といってもいつもの時間に目が覚めてしまうのですが)、本屋で立ち読みし、買ったけれども読む暇のなかった獣医学書を読み、海外のうさぎの文献を訳し、作ったことのない料理にチャレンジし、時に失敗し、眠くなったら眠る。
長らく会ってなかった友達に会いに他府県まで足を伸ばし、朝までくだらない話をし、お酒が飲めないのでスポーツ飲料水を朝まで飲み明かす。
あまりのすばらしい退屈に、こんな毎日も悪くないなとちょっと思ってしまいます。
たださすがに一月近くこの退屈が続くと、そろそろ貧乏性の虫が騒ぎ始めてきたようです。
町中を歩く猫を見るとその足取りが気になりますし、抱っこされて散歩しているマルチーズを見るとその呼吸が気になります。
そろそろうさぎのふわふわした毛並みを触りたくて、手がうずうずしてきました。
職業病と言ってしまうとそれまでなのですが(それとも貧乏性?)、自分には、動物たちに噛まれ、引っかかれながらも、診療や手術に追われている方が向いているのかもしれません。
開業してしまうと、今まで以上に自分の時間がなくなっていくのかもしれません。
休みもあってないようなものでしょう。
救急疾患もあれば、夜も昼もないでしょう。
それがこれからずっと、何十年も続くかと思うと、ぞっとしないでもないです。
でもきっと、私にはそっちの方が向いているのでしょうね。
「もうちょっと獣医業以外のことにも目を向けたら」とこの間大学の友人に言われたのですが、獣医師として動物を触っている時間が、自分の時間なのかもしれません。
それが良いことなのか悪いことなのかはよくわかりませんが、性分ですから仕方がありません。
まあ、今はうずうずしながらも、この退屈を堪能しようかと思います。
もう二度とこんな春休みはないのでしょうから。
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