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アレス動物医療センター

お薬手帳とまではいかなくとも

2019/6/3

 連休や日曜祝日になると、主治医の先生がお休みで、持病が急変した際などに当院に来院される方が結構います。
 そういう時に、動物にもお薬手帳のようなものがあったらよいのに、といつも思うのです。

 私もなんだかんだと46歳になり、5年前に四十肩、2年前に頸椎椎間板ヘルニア、今年に入ってから五十肩(なぜか5年でクラスチェンジ)、春の検診で悪玉コレステロールが高いといわれ、子供のころからアレルギー性鼻炎とアトピーとなかなかの病気のデパート。
 そうするとお薬手帳なども結構にぎやかな感じで、お薬の過剰投与や相性の悪い薬の同時使用を避けるために、新しい病院さんに行くと(新しい病気が発症すると)その都度先生にお薬手帳を見てもらって、薬同士がぶつからない治療を考えていただく必要があるわけです。

 人間ではお薬手帳は当たり前のことで、むしろ持たずに薬局に行くと、再三再四「お薬手帳は持ってこられましたか?」と矢の催促。
 というか、やはりこれは大事なことで、総合病院に通って、歯も眼も肩も皮膚もすべてそこで治療を受けてない限りは、治療内容や投薬内容の共有化は病院間で図れないわけです。

 で、動物病院はというと、結構一軒の動物病院にすべてを任せているという患者さんも多いわけです。
 日曜も祝日もゴールデンウィークもお盆も正月も夜間救急も、いつでも主治医の動物病院さんがやっていてくれるのであれば、それはそれでよいと思うのですが、週に1日くらいは休んでいる動物病院がほとんどでしょうし、今年のゴールデンウィークみたいに、10連休とかわけのわからないことになると
 持病の心不全の症状が悪化して!とか
 持病の発作が悪化して!とか
 あるいは何らかの持病をもっていて、山ほど薬を飲んでいるんだけど、急に下痢嘔吐になって!とか
 今までの事情を良く知っている主治医の先生ではない動物病院に、急に行かなければいけないこともあるわけです。
 場合によっては飼い主さん自身、動物を連れて旅行に行き、自宅から遠く離れている場合だってあるのです。

 そういう時に結構困るのが、なんかたくさん薬を飲んでいるんだけど、この薬なんだろう?というシチュエーションです。

 例えば心不全の治療をすでに行っている。
 何かよくわからないけど薬が4種類出ている(場合によっては粉になって混ざっている)。
 薬の種類も、量もわからない。
 急性の肺水腫という緊急事態に陥っていて、利尿剤を注射したいんだけど、もしかしてすでに飲んでる!?
 これ追加で打っちゃ過剰投与になっちゃうのかしらん???

 というパターンです。
 
 中には処方箋のようなものを印刷してくれてたり、明細書に事細かに薬の名前が書いてある動物病院さんもあるのですが、明細書を見ると「内服薬1080円」としか書かれてないケースも結構あります。
 忙しい病院さんだと、すべてを記載したり、印刷したりするのは難しいかもしれませんし、一時的な皮膚病で1週間だけ薬を飲んで、というケースはさほど問題にはならないのです。
 ただ心不全の薬を3年前からずっと飲んでる、とか
 発作の薬を小さいころからずっと飲んでる、とか
 〇〇の薬を1か月以上飲み続けているという場合、やはり何の薬を、どれだけの量で飲んでいるのか知りたいのです。

 こういうのって、どうにかならないものですかね。
 お薬手帳とまではいかなくとも、例えば「処方薬開示動物病院会」みたいな会を作って、その会員動物病院を募る(薬の名前を公表しても良いという病院)。
 でこれに参加している動物病院は、明細書か処方箋で飼い主さんに出した薬の名前を必ず提示する代わりに、「処方薬開示動物病院」みたいな素敵なステッカーをもらって、「うちは薬の名前を堂々と開示してるんだぜ!」というささやかな自慢ができる。
 ついでにネット上でもこの会に参加している動物病院が検索できる。
 みたいな。

 まあ、そういうのが将来できるかどうかは別として、長期間お薬を飲ませていて、しかも生涯継続が必要そうな場合は、主治医の先生に薬の名前くらい聞いても良いと思うのです。

 「先生、夜間救急とか、旅行先で何かあったときのために、いつも飲んでる薬の名前教えてほしいんですが、良いですか?」と可愛い感じで言ってみたら、大概の先生は薬の名前くらいは教えてくれるのではないでしょうか。
 薬の量まではいかなくとも、せめて名前がわかっていれば、それまでの前歴を知らない先生でも、緊急時にある程度対応ができると思うのです。

 もしそんなことを言って怒り出す主治医の先生がいたらどうしましょう?
 そんなわからずやとは別れてしまいなさい、と言いたいところですが
 そんなあの人でもいいところはあるの…と思う場合はそのままでも良いのかもしれません。
 獣医師の良し悪しはそれだけで測れるものではないですから。

 

 

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