うちの動物病院は看護師は看護師が育てるというシステムを取っています。
私の目が行き届かないところも、熟練の看護師たちがカバーしてくれます。
そうは言いながらも、自分でも一応新人の育成には気を配っているつもりなのですが、やはり何人もの看護師を育ててきた熟練の看護師にはかなわないことも多々あります。
富山県で開業してもうすぐ15年。
うちの動物病院に現存する最古のスタッフはまる13年働いてくれている獣医師一人、看護師一人です。
現在看護師は産休中のこを含めて11人。
皆女の子です。
下は二十歳から上はむにゃむにゃむにゃ、一番経歴が長いのが開業2年目に来てくれた看護師さんです。
現在二児の母で、育児に仕事に旦那の世話にと大忙しで、動物病院には週5日午前の診療時間だけ出勤してもらっているのですが、13年かけて培った経験値は半端なく、彼女がいるときの安定感は半端ありません。
彼女が育てた看護師が次の世代の看護師を育て、その娘がまた次の世代を育てと受け継いできているので、今年入社した看護師の直属の教育係は別にいるのですが、他の先輩看護師も気づいたことは指摘して、みんなで育てていくことになっています。
今年入社した娘はまだ働きだして3ヶ月位ですから、成長著しいとはいえ、まだまだ覚えなければいけないことも多々あります。
おぼつかない作業があるのも当然で、私はまあ、後々うまくなっていくだろうとのんきに構えていたのですが、ある時経験値13年の看護師が私に声をかけてきました。
「まだ本人に確認していないのですが、多分○○さん(今年入社の新人看護師)、左利きです。」と
「?そうなの?」と返すと
「麻酔をかけるときに開口作業がなにかぎこちない気がしていて、なんでだろうと思ってたら、ノートを取るとき左手で一生懸命書いてて・・・
多分、私達が右利きで指導しているのを、利き手でない方で真似ようとしてるから、うまくできないんじゃないかと思うんです。
左手で作業するように指導しても良いですか?
それとも逆手で開口作業すると、やりにくいですか?」
はぁ、なるほど、と思いました。
恥ずかしながら、まったく気づいていませんでした。
本当にその理由で作業がぎこちないのかはわかりませんが、たしかにその可能性は十分あると思いました。
「逆手で開口作業しても、こっちは全然問題ないから、試しに逆手で指導してみて」と返答すると。
「わかりました。ちょっと本人に確認してみます」
そう答えると何事もなかったかのように、仕事に戻っていきました。
さすがだな、と思いました。
伊達に13年はやってない、と。
経験は力だ、と。
常々自分は人との出会いに恵まれた人生だと思います。
家族に恵まれ、嫁さんの家族にも恵まれ、友人に恵まれ、恩師に恵まれ、スタッフにも恵まれ。
私の人生に深く関わる人達は、何故か皆出会いを感謝しなければいけない、素晴らしい人ばかりです。
随分快適な人生を送らせていもらっているなとよく思います。
日頃助けてくれているスタッフたちに、心から感謝しております。
給料は別に増えませんが、心の底から感謝しております。
え?給料増やしてやれって!?
・・・ほんとにねぇ(まるで他人事)
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