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アレス動物医療センター

動臨研でのささやかな戦い

2016/12/2

 以前ひとりごとで書いた、大阪の獣医学イベント動物臨床医学会年次大会(通称動臨研)に参加してきました。

 この年になるまで参加したことがないというやや恥ずかしい身分ですが、ありがたいことに講師として呼んでいただき、1時間の講演を受け持たせていただきました。

 持って生まれた引きこもり性分の、先天性出不精なもので、生まれてこの方講演などという仕事をしたことはないので、そりゃあもう緊張しました。

 講演のスライドづくりすら手探りで、慣れないパワーポイントを駆使し(駆使しというほど使いこなせていない)、自宅で何度も練習してみて、いざ決戦!!というところです。

 ちなみに1時間の講演とはいえ、質問時間を5分ほど考えると55分位で終わらなければと練習するのですが、内容を詰め込みすぎて、何度練習しても55分をオーバーしてしまう有様。
 しかも1回通しで練習すると1時間近くしゃべりっぱなし(書斎で、一人ぼっちで)ですので、2,3回練習するともう息も絶え絶え…
 でも、せっかく振っていただいた仕事なので、できるだけの努力をとコソコソと練習しておりました。

 パワーポイントには「発表者ビュー」とか言う便利な機能があり、プロジェクターで表示されている画面と、次の画面、そしてメモの記入欄、スライド開始からの経過時間を同時に見ることが出来るモードで、
「そうだ、キリの良いところで、あと何分とか、メモを入れておけば微調整が出来るじゃないか!」と数カ所に残り必要時間や、長ったらしく覚えられない薬の名前をメモに入れて、よしこれでいける(はず)!と準備万端(のはず)。

 動臨研は11月18,19,20日の3日間に渡って大阪国際会議場で行われ、私は19日の昼過ぎの講演だったのですが、朝イチで行って講演する度胸がなくて、前日入りしました。
 せっかくだから18日の講演を観覧しようと整形外科の講演に入ってみたら
「・・・あれ?スライドの大きさが違う!?」
 私がパワーポイントで作ったスライドは16:9のスライドだったのですが、整形外科講演で使われていたスライドは4:3。
 特に講演依頼書にスライドサイズに関するコメントがなかった(と思うのですが)ので、パワーポイントのデフォ設定でスライドを作ったら、サイズが間違っていたのです。

「げっ、やばい!」
 整形外科講演が終わるとともに急いでホテルの部屋に入り、スライドを直す直す。
 夜の街に消えることも出来ず(どうせお酒も飲めないのでどこにもいかないでしょうが)、その作業は深夜にまで及ぶのでした。

 それでも
 「良かった、当日入りしてたら、本気でやばかった。 ラッキー!!」と思うことにして、当日。

 発表は昼からとは言え、念のためデータは早々に運営側に渡しておこうと、データ受け渡し場所に行くと、その場で念のためスライドチェックを行うことに。
 よしよし、同じバージョンのパワーポイントだ、問題ないはず。
 と思って、さんざん練習した「発表者ビュー」を表示しようとすると
 ・・・あれ?表示できない?

 私「あの、発表者ビューって、表示できないんですかね?」
 運営の方「はい。パソコンに表示されている画面が、そのままプロジェクターに映し出されます」
 私「あー・・・じゃあ、メモに記入したことは」
 運営の方「・・・見られません」
 私「・・・ですよねー」

 とすると、全部アドリブで喋るのか。
 と言うか、残り何分とかいうメモ書きも見れないんだ。
 と言うか、残り何分とかって、どうやって知るんだろう??
 軽いパニックを起こしながらも、そこは43歳。
 何の問題もありませんけど!?という体で、「よろしくお願いします」とお辞儀をして立ち去る私。

「いやいや、よかった。これ発表直前に聞いてたらかなり動揺してたところだけど、早く知ることが出来てよかったじゃないか。
 ついてる!今日の俺もってる!!」
 とかなんとか、やや無理めな感じで自分を励ます私。

 そんな感じで陰でバタバタしながら、なんだかんだと講演時間が来て会場へ。
 100人入る会場がぼちぼちの入り(20〜30人程度?)、よく見れば知った顔(エキゾチック研究会の先生方)も多い。
 これなら大丈夫、と根拠のない自信が湧いて、講演開始。
 部屋の電気が落ち、とにかく時間オーバーだけは避けねばとややアップテンポのトーク。

 今どれくらい時間経ったの−!?とか思いながら喋る喋る、喋り倒す。

 ダーッと喋り倒して、スライド終了。
 ぱっと腕時計を見る。(そうか、腕時計で時間を確認するという手があったか!)
 50分!!

 早く終わりすぎたやんけー!
 
 まあいっか、20〜30人程度の聴衆で、知り合い多数なら許してくれるに違いない(本当は良くない)。

 ぱっと会場のライトがつく。
 満杯!
 人でいっぱい、うじゃうじゃ!!
 あんたらいつの間に部屋に入ってきた(失礼)。

 残った10分を消化するのに座長の先生や、知り合いの先生が頑張って質問をしてくれる。
 えらい!みんなやさしい!
 それにしても10分が長い!!

 まあ、ややグダグダ感は否めませんでしたが、どうにか無事終了。

 その後もたくさんの先生に声をかけていただき、メールで何年ものおつきあいがあるのに、実際お会いしたことがなかった先生方にもお会い出来、なんとも幸せなひとときでした。

 講演の仕事を回してくださった方々、動臨研の運営をされている方々、そしてたくさんの講演の中から私の講演を選んで見に来てくださった方々、本当に沢山の方々に支えられているのだなと実感しました。

 そして、もし今度講演の依頼があったら(あるかわかりませんが)、おしゃれな腕時計じゃなくて、ストップウォッチをもっていこうと心に誓うのでした。 
 


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