いつだったか動物病院の特集をテレビで放送していて、そこでとある獣医さんが次のようなことを言ってました。
「食べ物で示す愛情表現は簡単だけど、他にも愛情を注いであげる方法がある」と。
以前ひとりごとの[お相撲さんばかりの世界]で書いたのですが、日頃診察するうさぎさんのほとんどは太りすぎの方ばかりです。
痩せているこは何かしらの病気と闘っているこくらいということが多く、ちょうどいい中間の体型といううさぎさんに出会える機会がなかなかありません(まあ、ウサギに限らず、犬などでもそうなのですが)。
この原因の一つに「うさぎのおやつ」と称するような食べ物や、人間の食べ物をウサギに与えているということがあげられると思っております。
うさぎの食餌に最も重要なのが繊維質であるという認識がだんだん日本にも伝わってきて、ようやくペットショップに並ぶペレットの繊維質もちょっとずつ高くなってきて、17%くらい繊維質の入ったものまで並ぶようになってきました(それでもまだ外国産には及ばないですが)。
13%以下というペレットもだいぶん減ってきたようです(まだあるのかな?)。
それなのに、その隣の棚を見てみると、クッキーやビスケットのような形をしたうさぎのおやつと称するものが沢山売られていたりします。
で、成分表示をちらっと見てみると、平気で繊維質10%以下とか8%以下とか書いてあって、思わず目が点になってしまいます。
しかもその代わりに炭水化物などが異常に沢山入っていて、買ってちょっとなめてみると、甘かったりするのです。
ここまでくると笑っちゃいます。
人間は雑食動物ですから、肉も食べれば野菜も食べる、クッキーだって何だって食べます。
しかし完全草食動物であるウサギが、自然界でクッキーやケーキやパンを食べるはずがなく、食べていいはずがないのです。
家族の一員として大事にしているうさぎさんを、つい擬人化して、ワラばっかりじゃかわいそう、ペレットばっかりじゃ味気ないと思いたくなる気持ちは分からないでもないのですが、同じ家族であっても、同じ生物ではないということを忘れてはいけないのかもしれません。
先日放送してた動物病院の番組で、太りすぎの犬のダイエットに四苦八苦する飼い主さんと、それを支える獣医さんの姿がありました。
そこでその獣医さんが言っていたのが、先の
「食べ物で示す愛情表現は簡単だけど、他にも愛情を注いであげる方法がある」と言うものでした(ちょっと言葉は違ったかもしれませんが)。
このような動物病院の特集番組というのはおもしろおかしく脚色されているのか、いつも見るときは大笑いしながら「そんなはずはないだろう」なんてつっこんで見ているのですが、この先生の言葉だけは目から鱗が落ちる思いでした。
ああ、なるほどそういうふうに説明すればいいのか、と。
ウサギに限らず、食餌指導をしなければいけない患者さんは沢山います。
太りすぎで関節炎を起こして歩けなくなってしまうこや、糖尿病になってしまうこ、不適切な食餌で肝臓や腎臓に病気をおってしまうこと、原因はいろいろありますが、人間が作ってしまう病気はたくさんあります。
それが分かっていても、なかなか食餌の改善どころか、改善しなければいけないと言う認識をしてもらうことすらとても大変なのです。
みなさん口をそろえて「でもかわいそう」とおっしゃいます。
どれだけ説得しても理解を得られないときは、諦めざるを得ないこともたくさんありました。
そして説得することを諦めながらも、私も思うのです「でもかわいそう」と。
でもこれからは私もその先生にあやかって、飼い主さんを説得してみようと思います。
いい言葉じゃないですか、
食べ物で愛情を注いであげるのはわかりやすくて簡単だけど、それ以外にも愛情を注ぐ方法はあるはずです。
健康に良いものを与え、ウサギを健康にしてあげる。
それだって食べ物で示す愛情なのです。
クリスマスだからといって、ケーキは与えてはいけません。
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