新年あけましておめでとうございます。
早いものでもう1年も経ってしまったのですね。
どれくらい早かったかというと、年末に書くはずだったひとりごとを、今書いているくらいあっという間に時が流れてしまいました。
いや〜 早い早い。
…まあ単に書くの忘れてたんですけどね。
さて、毎年年の始に今年の目標は「飼い主さんを怒らない」と、心に誓いつつ、全く実現できた試しはないのですが(それでも若い時分に比べると減ったとは思うのですが)、こちらとしては怒っているつもりは毛頭ないのですが、飼い主さんに「怒られた」と表現されるのが、だいたい肥満、おやつに関するお説教です。
実際腹が立って怒る時もありますが、サービス業としてどうなんだろうとはもちろん思いますが、こと命にかかわる職業なので、どうしても許せないことがあったりもします。
でも、本当は我慢しなきゃいけないんでしょうね。
にっこり笑って、「ダメですよ〜」ってやさしく諭してあげなきゃいけないんでしょうが、どうにも修行が足りません。
「なんでこんな状態の子を1週間も放置しておいたの!!」なんて雷を落としてしまうことも、ときどきあります。
よくないです。
まあそれはともかく、こっちとしてはまったく怒ったつもりがなくても、飼い主さんに言われるのが、
「先週先生に太ってるって怒られたから・・・」とか
「この間先生におやつのことで怒られたから・・・」とかいうたぐいの話です。
これはあんまり怒っているつもりはないのですが、飼い主さんからすると「怒られた」と認識されているようで、笑顔が足りないのかな?表現の仕方がきついんかな?と時々不安になったりします。
「さあ〇〇ちゃん、今月の体重はどうかな?」
「大丈夫。先生に先月怒られてから、おやつ一切あげてないから」
なんてやりとりになるのですが、『えー、あれ怒ったうちにカウントされるのー!?』とか思います。
ちなみにこの類で怒っている時もあります。
糖尿病の患者さんなのにおやつをあげてたり、再三ダイエットの指導をするのに、まったく聞き入れてもらえなかったり、おやつ、ダイエット関係でも本気で怒るときもあるのですが、ほとんどは「こんなに太らせちゃダメですよぅ〜」と笑顔で言っているつもりです(笑顔になってないのかな?)。
うちの病院は肥満やおやつに対してえらく厳しいと評判らしく、いつだったかこんなことがありました。
獣医師会の会合で近所の先生方が集まっていたときに、とある年配の先生が新聞に掲載する獣医師会の広告を持って来られました。
そこにはその先生の愛犬の写真が使われており、その写真を見た途端に、その場にいた先生方が色めき立って、みな口をそろえて言うのです。
「この写真はアレスさんには見せちゃダメだ!」「アレスさんにこんな写真見せたら怒られるよ!!」と。
「どんな写真なんですか?」と新聞を覗きこんでみると、やや(結構?)ぽっちゃりしたワンちゃんの写真が広告に使われていました。
そうは言っても10や20は年上の先生を捕まえて「こら〜!!」なんて言うはずもないので、それは単なる先生方のジョークなんですが、それとともに
『え?僕って、巷の先生が口々に言うくらい、厳しい先生って噂が立ってるの!?』と、ちょっと不安になってしまいました。
不安とは違うかな?
寂しいというか、切ないというか。
病気の子を減らしたい、病気の子を少しでもよくしてあげたいという思いから一生懸命時間をかけてダイエットの話をして、肥満になる恐怖についてこんこんと説明し、カロリー計算をして、という診療は人によっては「飼育指導」や「説教」ではなく「怒られた」という認識になってしまうのかと思うと、なんだかちょっと切ないです。
でも確かに自分の子供を連れて病院に行き(いないですけど)、病院の先生に「太ってる、太ってる」と言われて気分がイイはずが無いですものね。
なんて言うといいんだろう「ぽっちゃりしてる?」「ふっくらしてる?」
そういう問題じゃないのか。
まあいいじゃないか、この飼い主さんにとっては大切なペットを我慢させず、美味しいものをあげて、というのが愛情表現であって、それは僕の価値観とは違うかもしれないけれど、それで病気になったとしてもそれはまあ自己責任だし…とか
うっしっし、これでぶくぶく肥え太って椎間板ヘルニアになれば、手術でがっぽり儲けられるぞ。太れ太れ…とか
そんな風にでも考えられればいいんでしょうけど、なかなかこのクソ真面目な性格が災いして、どうにもうまく我慢できないんですよねぇ。
いつか開きなおって「ま、太ってもいっか」と悟りを開ける日が来るのでしょうか。
なんか無理な気がするなぁ。
今年も、来年も、再来年も、十年後も二十年後も「こんなに太らせちゃダメですよ」って、言ってる気がするなぁ。
飼い主さんに慣れてもらうしかないんですかね。
他力本願もいいところですが、勘弁して下さい。
うちは飼育指導うるさい病院です(開き直り)。
「かわいいかわいい、これくらい太ってるほうが、僕は好きだなー」なんて、飼い主さんが喜ぶようなことは言えない朴念仁です。
それでも良いという方、ぜひご来院ください。
ちなみにベスト体重になったこと飼い主さんはめっちゃ褒めちぎってるんですよ。
「すごいね〜。この方が絶対可愛いですよ!頑張りましたねー!!」って
ただこのセリフ、めったに言えないんですよね。
1日1回言えたら良い日、というくらいかも。
ぜひ私に褒めさせてください。
日頃お説教してる分、力の限り褒めさせていただきます。
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