私の好きな言葉の一つに「守破離」というものがあります。
元は芸術だか茶道だか武道だかの言葉らしいのですが、ウィ○ペディアによると
まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。
その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。
最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。
自由な発想で離れていったとしても、それはけして守り、破ってきた型や知識を無視するということではなく、それらの型や知識はすでに意識するまでもなく土台として出来上がったうえで離れていく、ということではないかと思います。
書道なんかでもあるじゃないですか、前衛書道っていうんですか?あの何書いてあるんだかよくわからない作品。
前衛書道を書いている方たちも、いきなりあんなわけわかんない(って、私が理解できる知識がないのでしょうが)書からスタートしたわけではなく、楷書や行書をしっかり学んだあとに書くから、人々に感銘を与える作品になるのではないでしょうか(僕は無学なのであまり感銘を受けませんが)。
私みたいにミミズがのたくったような字しか書けない人間が、いきなり前衛書道を真似て筆を振るっても、きっと単なる落書きにしかならないでしょう。
この守破離は茶道や芸術だけではなく、我々が学ぶ獣医学においても言えることだと思うのです。
今まで師匠や日本で指折りの獣医師として名が挙げられる先生方とお会いする機会があると、いつもこの言葉が思い浮かびます。
皆さん守破離の言葉をご存知かはわかりませんが、見事に体現されている方ばかりです。
その時その瞬間日本獣医師のトップをひた走る技術や知識を持っていながら、それに満足せず、新しい技術、知識を積極的に取り入れ、時に新しい手術器具、治療方法を発明し、発展させ、私のような凡人獣医師に常に驚きを与えてくださいます。
そのような偉大な先生方は一見すると今までの獣医療をひっくり返す革命児のように見えますが、その実基礎となる知識、技術は驚くほど堅牢で、しっかりとした土台を作り、守るべきものは守り、その上で新しい技術を革新していくのです。
かっこいいじゃないですか。
あこがれるじゃないですか。
私もそんな獣医師になりたいものです。
では私が今どの辺かというと
・・・まあ、まだ「守」のまっただ中ですね。
離れるどころか、打ち破ることすら出来てません。
いつか破れるんですかね?
ほんとに破れるんですかね?
この仕事についてなんだかんだともう16年。
65歳までこの仕事を続けるとして、あと24年。
「離」はちょっと無理ですかね。
「破」もどうだろう??
それでも「守破離」を目指して、コツコツ頑張っていこうと思います。
・・・基礎工事だけで終わっちゃったりして。
〒933-0813
富山県高岡市下伏間江371
TEL 0766-25-2586
FAX 0766-25-2584