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あなたがウサギに出来ることは 獣医師による うさぎ専門情報サイトです。

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アレス動物医療センター

開業10周年!

 今月で開業10年となります。
 2002年9月13日に開業して、もうそんなに経つんですねぇ。
 当時29歳。
 ・・・若かった。

 あっという間でしたねー。
 ほんとにもうあれよあれよという間の10年でした。

 そんな感覚なんで未だに若手獣医師の気分でいるんですが、一般的には中堅獣医師なんでしょうか。
 お笑い芸人の「若手」みたいな感じですかね。

 あっという間とはいえ、10年前、看護師も雇えず(お金がなく)、一人ぼっちで開業したことが懐かしく感じます。

 イオンの一階、20坪の狭いテナントでの開業。
 当時、朝7時に出勤して掃除し、消毒し、入院患者さんの世話をし、一人で受付、一人で診察、一人で手術、1人で会計となんでも1人でした。
 飼い主さんからすると結構異様な光景だったのではないでしょうか。

 「どうされました?」と受け付けで話していた獣医師が、診察室に入ってきて診察を始め、「お薬準備しますので、待合室でお待ちください」といって診察室で見送ったあと、もう一度受付に戻って会計をする。

 今にして思うと、ショートコントのようなさまですね。

 食中毒になり、トイレに篭り、便座に向かって座り込んだまま、患者さんが来るのを待っていたこともありました(そして自動ドアが開くと、青白い顔で「どうされました」とか言いながら笑顔で受付に走りましたが、お前の顔色こそどうした!?という顔をされました)。

 当たり前ですが、最初はめちゃめちゃ暇でした。
 一日5件患者さんが来たら、今日は結構来たな^^なんて喜んでいたくらいです。

 それでも一人で片付けなどをしていると遅くなり、カルテを細かく書いていると深夜遅くまで病院にいることが多かったですね。
 細かく書き込んでもどうせ自分しか見ないんでしょうが、それでも「いつかきっとスタッフが増え、獣医師が増え、このカルテを別の獣医師が目にした時にわかりやすいように」とやや妄想めいた思いで、地道にカルテを書き続けていました。

 開業半年で初めてのスタッフが来てくれました。
 伝説のスーパー看護師一号。
 この娘との出会いが、うちの病院を運命づけたような気がします。

 とにかく仕事が出来る。
 今の看護師長を始め、歴代の看護師を育てたのは彼女であり、彼女の仕事ぶりが今も脈々と看護師たちに受け継がれているわけです。
 
 うちの病院では看護師は看護師が育てるというシステムですが、それが成り立ったのはスーパー看護師1号が作り上げた土台が、本当にしっかりしたものだったからだと思います。

 そしてもうひとつうちの病院を運命づけた出来事が1年半後に来てくれた、弟子(獣医師)1号とスーパー看護師2号(現看護師長。現在産休中。赤ちゃんを先日抱っこさせてもらいましたが、首が座ってなくて、チョー怖かった)。
 
 2年連続で凄腕の看護師が来てくれた奇跡、そして開業1年半で男の獣医さんが来てくれた奇跡。

 スーパー看護師2号は1号が生み出していく、思いつきにも似た手法やアイディアをシステム化し、後続の看護師たちに歪みなく伝わるよう安定化してくれるのです。
 1号が革命を起こし、2号がこれを安定維持する。
 この二人の組み合わせの妙は奇跡としか言えません。

 弟子1号が来てくれたことは、間違い無く今の年中無休、夜間救急対応を私の体を壊さずに実現できる礎になったと思います。

 彼と出会っていなければ、今も病院は週1日休み(とはいえ、入院患者さんの世話などで結局私は休めず)、体力的に夜間救急も頓挫し、20坪の病院で今も発展することもなく、かと言って休めないという診療をズルズルと続けていたのではないでしょうか。

 4人となって、できる手術も増え、受け入れられる入院患者さんも増え、これが呼び水となって、次々とスタッフが増えて行きました。

 いつの間にかスタッフ11人の大所帯になり、20坪では収まらなくなり、開業して6年目に40坪の病院に拡張しました。
 あの頃はもうこれで、10年は軽くやっていけるんでない?とか甘いことを考えていたのですが、その3年後今のアレス動物医療センターとして病院を移転開業します。
 
 今文章で書いていて思ったのですが、増床して3年だったんだ・・・道理で前の増床工事の借金が残っているはずだ、もったいな。

 まあ、なんだかんだと気がつくと今の病院のスタイル。
 自分で言うのも何ですが、ボチボチ頑張った方ではないでしょうか。
 年々給料は減るけど、特に趣味もないから、靴買ったり服仕立てたりするくらいのお金はありますし。
 月に一回くらいは贅沢なもの食べられますし。
 出勤に1分もかかりませんし。
 うん、上出来ですね。

 それもこれも、やはり人事に恵まれたというこの一点ではないでしょうか。

 以下業務連絡的な内容なので、すっ飛ばしていただいて結構です。
 
 看護師1号ありがとう。今の看護師たちも、そして今後増えていく看護師たちも、皆あなたが母です(ついでに出産おめでとう。出産祝い今度来たら渡すので、赤ちゃんの首が座ったら来てください)。

 看護師2号ありがとう。あなたのおかげで病院は回ってます。育児休暇終わったら早く帰ってきて;x; あなたがいないと、どこに何があるかすら、私にはわかりません。あと首の座ってない赤ちゃん抱っこするの怖いです。早く首座らせてください。
 
 弟子1号ありがとう。あなたがいてくれて、私は病気一つせず、戦い続けていられます。でも独立したくなったら、いつでも言ってください。極力引き止めないように努力します。・・・やっぱりちょっとは引き止めちゃうかもしれませんけど、その時は振りきってください。
 
 弟子2号ありがとう。あなたの作ったうさぎの歯削りボックス、今も大切に使ってます。初めてのウサギを勉強に来た弟子。福岡出身なのに富山に来てくれて、ほんとうに嬉しかったです。来年こそはきっと会いに行きます。旦那さんによろしく。
 
 看護師3号ありがとう。あなたの明るさに助けられたこともたくさんあるのに、なんの力にもなってあげられなかった。都会は便利でなんでもあるだろうけど、ちゃんと自炊してね。マヨネーズばっかりかけてると体に良くないぞ。
 
 看護師4号ありがとう。2号の育児休暇でも病院がどうにか回っているのはあなたのお陰です。辛いことは溜め込まず、たまには愚痴を言ってください。院長はそれを聞くことくらいしか出来ません。まあ、聞くだけなんだけど。
 
 看護師5号ありがとう。あなたのイラストでうちのホームページもかなり賑わいました。忙しいとは思うけど、体壊さないように。もし新作のイラストできたらメールで送って下さい。そんな暇ないか。
 
 弟子3号ありがとう。本当に鳥の診療は助かってます。こっそり診療聞いて学んでます。新しい知識が身についたら、また教えて下さい。マラソンは良いけど、頑張りすぎて体壊さないように。猫吉さんとまた遊ばせてください。
 
 看護師6号ありがとう。私のくだらないボケにかまってくれるのはあなたくらいのものです。他のスタッフからは最近放置されることが多いです(あるいはキョトンとされることが多いです)。もうすぐおめでたい日が来るけど、お父さん正直実感が全然湧いて来ません。でも、おめでとう。
 
 看護師7号ありがとう。あなたのたくさんのイラストも病院に華を添えてくれました。ああいう才能は私にはこれっぽっちもないので、ほんとうに羨ましいです。最近急に寒く 
なってきて、椎間板のダックス増えてます。気をつけて見ていてあげてください。
 
 弟子4号ありがとう。ご両親には申し訳ないけど、正直富山に戻ってきてくれたのはとても嬉しいです。無理せず、いつでも頼ってください。いつでもお父さんはあなたの味方です。旦那さんによろしく。ちなみに先日のダックスさん昨日手術しました(業務連絡です)。
 
 看護師8号ありがとう。今目指しているものはとても大変なものなんだろうけど、あきらめず、でも体を壊さない程度にがんばってください。何事も体が資本です。僕はそんなに二の腕気にならないです。逆にムキムキのほうが怖いです。
 
 看護師9号ありがとう。あなたの仕事の正確さはとても2年目とは思えない質の高さです。時々パッと名前が出てこない時があるけど、この人数なんで勘弁して下さい。正直もうみんなにゼッケンつけて欲しいです。39歳の記憶力には限界があります。
 
 看護師10号ありがとう。目が回るくらい忙しくて、テンパッてしまうこともあるかもしれませんが。焦らず、マイペースで。大丈夫、終わらない一日はない。自分では気づいてないかもしれませんが、もう立派な一軍看護師です。
 
 弟子5号ありがとう。あなたは聞き上手という、獣医師としてとても大きな武器を持っています。まだ2年目なのに、こんなに働いてくれてほんとうに助かってます。あなたの成長を見るのが楽しみです。ただ体調が悪い時はちゃんと無理せず言いなさい。
 
 看護師11号ありがとう。まだ1年経ってないのに、もうこんなに戦力になっているなんて、すごいです。もうすぐ後輩が来ます。成長を急がせて申し訳ないですが、その期待に十分答えてくれています。
 
 看護師12号ありがとう。こちらもまだ1年立っていないのに、高レベルなことばかり要求して申し訳ない。でもそのたびにきちんと成長してくれて、本当に助かっています。
 
以上、もう本当に「ひとりごと」でした。
なかなかうちのスタッフたちを、大手を振って自慢できる機会がないので、まあ、10周年なので、いっかーというところです。

もちろん患者さん、飼い主さん、近隣の先生方、業者さんも含めてですが、みんな感謝感謝です。

 以前もどこかのひとりごとで書いた気がしますが、自分の人と出会う天運というか、引きの強さというのは、ちょっとした才能なんじゃないの?と思うくらいです。
 唯一の才能なんじゃないでしょうか?

 ただこの才能、嫁さんと出会う方向には発揮されないようです。

 あ、また独身ネタをオチに使ってしまった。
 このオチあんまり繰り返すと、本気で心配されるんだよなぁ。



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