往復12時間。
というのは山口県から、ここ富山までの移動時間です。
山口大学で働いている友人がいるのですが、一度CTのスタッフ向け勉強会をしてほしいと、結構無茶なお願いをしていました。
今は主に私がCT検査を実施しているのですが、本当はスタッフ全員が検査できるのが理想です。
私のCTに関する知識は独学もいいところで、一度きちんとCTをみんなで勉強しようというこちらの趣旨はまあ当然なのですが、なにぶんCTに長けた友人というのがその山口大学の友人だけで、無理を承知でお願いしたのです。
とにかく忙しい男で、家に帰ればお子さんに「今度いつ来るの?」と言われ、家を出るときは「また来てねぇー!!」といわれる始末(一応毎日帰っているそうなんですが)。
お願いしてみたものの、なかなか実現は難しかろうと思っていたのですが、頑張って時間を作ってくれて、富山まで来てくれました。
片道6時間。
「さすがに遠いなぁ」と笑顔で高岡駅に到着しました。
開業当初に一度遊びに来てくれたので、8年ぶりの冨山だったのですが、ずいぶん病院近辺の町並みも変わり「前は田んぼしかなかったのにねぇ」と驚いていました。
当時はまだ私は開業したてで、初代看護師長と二人だけの病院、彼は以前勤めていた職場を辞めて旅行していたいわゆるプー状態。
それが一応、私は病院を建て(そして巨大な借金を負い)、彼はいつのまにか准教授(昔でいう助教授)になっていました。
そりゃお互い年もとるね、というところです。
院内セミナー前日私の自宅にとまった友人はすぐにノートパソコンを開き、「面白いかなぁ。ちょっと難しすぎるかなぁ」と予定してきたセミナー内容を眺めながら、しきりに心配そうにしていました。
「?大丈夫でしょ」とパソコンをのぞきこむとデスクトップ上に「沖田1」「沖田2」「沖田3」というファイル名のスライドがありました。
どうやら、わざわざスライドを作ってきてくれたようなのです。
それを見た瞬間、なんとも熱いものがこみ上げてきて(年です)、白髪交じりのちょっと髪の毛が後退し始めたおっさんを思わず抱きしめてくなりました(が、止めました)。
いいですよね、友達っていうのは。
翌日は診療とセミナーがあるのに、話がつきずに夜中の3時頃まで語りつくしました。
セミナーもスタッフに好評で、その日も夜中までしゃべり倒し、翌日山口へ帰宅。
これからまた6時間もの移動にもかかわらず、「また何かあったら、呼んでよ」と笑顔で帰って行きました。
私を含め、スタッフ一同のCTに対する知識もどんと増え、もっといろいろなことができる、いろんな病気と闘えると、新たな分野への期待で胸が躍ります。
そしてそれ以上に、私やスタッフのために貴重な時間を3日間もさいてくれた彼の優しさが、本当にうれしいのです。
私たちの年代、ポジションの人間が職場を3日間も離れることの大変さは重々わかります。
あっという間の3日間、バタバタしているうちに過ぎてしまいましたが、本当に幸せな3日間でした。
忙しくて、もうなかなかみんなで集まれる機会がないねというと、友人は
「もうお前とキュー太郎(別の友人)の結婚式くらいやろうなぁ」と遠い目をしました。
ちらとわたしのほうを見て
「…望み薄やなぁ」と、さらに遠い目をしていました。
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