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あなたがウサギに出来ることは 獣医師による うさぎ専門情報サイトです。

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アレス動物医療センター

来年も再来年もセレナ

 移転して早くも3ヶ月。
 あっという間ですね。
 早いわー、こうやって気がつくと40代、いやいやあっという間に50代と時は流れていくんでしょうか。

 とかいうことは置いといて、良いです。
 新しい病院良い!!
 とても快適。
 どれくらい快適かというと、月末のひとりごとを書くのを忘れるくらい快適。
・・・すみません。

 出勤時間が0とか、ちょっとの休み時間でも昼寝できるとか、屋上で毎朝ラジオ体操が出来るとか、お風呂でどれだけ大きな声で歌を歌っていても、近所の人に迷惑にならないとか・・・。
 まあいろいろあるのですが、一番良かったのはCTが導入できたことではないでしょうか。
 
 正直こんなに使う機会が多いとは思ってもみませんでした。
 何しろ1回CT検査2万円、ぼちぼち高い。
 言い訳するようでなんですが、CT検査2万円って、相場としては安いんですよ。
 いや、まじでまじで。
 
 ただまあそうは言っても、結構高いわけで、私としては椎間板ヘルニアの診断が脊髄造影なしで、簡単に出来ればよいかというくらいの認識で導入したので、月に1,2例も撮れば良い方かな、なんて後ろ向きなことを考えていたわけです。
 
 ところが実際導入してみると、意外と使う。
 2日に1回は使う。
 そして、うさぎの利用率が以上に高い。
 
 今まで撮影した45例くらいの患者さんのうち、半分近くがウサギ・・・
 よそのCT使っている病院さんに聞いたわけではないけれど、たぶん異常にウサギ率が高い。
 ・・・まあ、しょうがないか。
 
 何に使っているかというと、腫瘍の診断だったり、骨折だったり、不正咬合だったりというところなのですが、圧倒的に不正咬合の検査で使う機会が多いです。
 
 うさぎさんの奥歯の不正咬合は、手前のほうにある歯なら、耳鏡(本来は耳の中を見る検査器具)で見えるのですが、奥のほうになるとガッと口を開いてでないと見えないことが多いのです。
 
 ところがこのガッと大きく口を開いてというのがなかなか難しく、状態の悪い子などはショック死することもあります。
 3分の2くらいの患者さんは耳鏡で診断できるのですが、麻酔をかけて口を開かないとわからないことも結構多いのです。
 で、ここで問題はうさぎの麻酔というとやはりリスクはつきもので、リスク覚悟で麻酔をかけたけど、歯に大きな問題がなかった・・・というシチュエーションが怖いわけです。
 
 これは飼い主さんももちろん怖いですが、私たち獣医師も怖い。
 麻酔をかける前からはっきり不正咬合のせいでの食欲不振と診断がついている子なら良いのですが、不正咬合かもしれないし、そうじゃないかもしれないし・・・というときに、なかなかこちらも説得しづらい(違っていたらどうしようと思うと)。
 
 飼い主さんだって、はじめから不正咬合のせいで食欲不振とわかっていれば、すんなり麻酔も受け入れてくれるかもしれませんが、そうじゃないかも・・・という話になると、やろうかやるまいかとなかなか決心がつかないわけです。
 
 で、ここでCT。
 うさぎさんの場合、麻酔をかけなくても、鎮静剤だけでCTが撮れることに最近気づき、鎮静剤でボーっとしてもらって、CT撮って、歯が悪ければそのまま麻酔をかけて処置をして、という流れを結構よくします。
 
 まあ、とはいえ、2万円もするわけで、麻酔かけちゃってくださいと言われることも多いのですが(麻酔かけて歯を削れば8,000円なので)、それでも、これを喜んでくれる飼い主さんが意外と多い。
 
 はじめは、軽い冗談のつもりで、CT撮れば麻酔かけなくても分かると思うんですけど、2万もするんでねぇ、とか言ってたら。
 「それはいいですね!!」と食いついてくる飼い主さんがいたもんで、「え?マジで?」と思いながら、他の飼い主さんにも言ってみたら、結構な率でCT撮ってくださいという要望。
 これはたぶん、犬や猫の飼い主さんたちとは、ちょっとまた違うのかもしれませんが、飼い主さんの愛、もとい「ウサギ愛」って深いなぁ、とあらためて実感しました。
 
 この不景気な世の中で、2万円って、結構でかいと思うんですよ(少なくとも私にとってはでかい)。
 それでもわが子の安全には変えられないんでしょうね。
 愛ですよ、愛。
 
 犬や猫でも、今まで開腹しなければ分からなかった癌が、CT検査で発見できる機会が増え、「病気の原因をはっきりさせるためにお腹を開きましょう」という説明では説得できなかった飼い主さんも、「お腹を開けなくても、CTで癌が見つかるかもしれませんから、とりあえずCTを撮ってみましょう」と説得できるようになりました。
 あるいは「もしお腹を開けてみて、他の臓器に転移していたら、手術を出来ないかも・・・」と説明していたケースも、「まずCTを撮ってみて、転移の可能性が低ければ手術をしましょう」といえるようになったわけです。
 
 これは結構でかいです。
 
 当たり前ですが、検査のためにお腹を開くという行為に、飼い主さんは良い印象を持つはずはなく、この試験的開腹(原因をはっきりするための開腹手術)が格段に減ったのは、CTのもっとも大きな功績のように思えます。
 ただ、試験的開腹も、もちろん大事な検査なんですけどね。
 
 他の病院さんからの依頼検査も、実は癌の検査依頼がほとんどで、椎間板ヘルニアの診断に便利とか考えていた私の誤った認識とは、大きくニーズが違っていたようです。
 
 便利だ!
 えらいぞCT!!
 
 ただ、ちょっと心配なことが…
 お金がかかりますね。
 
 CTを買って、今まで発見できなかった肝臓がんなどを容易に発見できるようになると、今度は肝臓癌の手術が安全にやりたくなる。
 とか言ってると、じゃあ肝臓癌の手術用に超音波メスが欲しいねーとかいう話になるんですが、これがまた風の便りで聴くところ400万とかなんとか・・・
 
 後まあ、何よりもCTにお金がかかる。
 維持費が200万とか、管球が1個10,000,000円とか、何の冗談やねんという金額。
 
 管球というのはCTの心臓部で、言ってしまえば放射線を出すランプのようなもの。
 これは蛍光灯や電球と同じく、あんまり使わないとそれはそれで劣化するけど、頻繁に使っていれば、早く消耗して切れてしまう日がいつか来るわけです。
 管球が1個10,000,000円
 …いえいえ、数え間違いじゃないです。1千万円であってます。
 あんたバカっ!?(いまごろ惣○アスカ風)、てな感じです。
 
 月に2,3回くらいのCT使用なら、10年、20年くらい管球はとばないのではと高をくくっていたのですが、このペースだと意外と早く交換する日が来るのかなぁと、うれしいような、心配なような気持ちでCTを眺めています。
 でも、せっかく買ったんだから、使い倒さないと損ですしね。
 
 おう!切れるなら、切れやがれ、こんちくしょう!!
 (でも、出来たら8年くらい切れないでください)
 
 何なんでしょうねぇ、この医療機器の値段って言うものは。
 
 私が開業当初買った軽四の箱バン(中古)は保険あわせて20万くらいでしたよ。
 今乗ってるセレナ(中古)だって、保険あわせても100万程度でしたし、かれこれ8年くらい乗ってますしね。
 嫁さんも子供もいないのにセレナ・・・フフフ(その辺はスルーで)。
 
 なんか最近スタッフのほうがいい車乗ってるんですよねー。
 いいなー、かっちょいいなー。
 車のことはよくわかんないけど、もうちょっと押し出しのきく車欲しーなーとか思っていたんですが、これはまだまだ先になりそうですね。
 
 大丈夫、車検まだ1年半あるから!
 でも2年後にセレナ乗ってたら、きっと超音波メスを買っちゃったってことなんでしょうね。

 ・・・乗ってそうだなぁセレナ。



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