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アレス動物医療センター

季節はずれの卒業式

 やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ
 
 とは山本五十六の言葉だったような、違ったような・・・(自信がないなら書かなきゃいいのに)。 
 山本五十六のように何千、何万の部下を従えているわけではないですが、ほんの4,5人とはいえ弟子(獣医師)を育てる身にとっては、なかなか含蓄のある言葉だなぁと思うのです。

 自分はきちんとやってみせられただろうか、言って聞かせることができただろうか、させてやることができただろうかと、振り返ることがあります。

 特に最後の褒めてやらねば、というのが意外と難しい。
 難しいというか、照れ臭い。
 それでも、指導する身となると、はじかしぃ〜とか言ってる場合ではないんでしょうね。

 なんの話やねん、という枕ですが、今月今日をもって、弟子(獣医師)4号が卒業します。

 彼女が神奈川からうちの病院に来て3年半、面と向かって口にするのは恥ずかしいですが立派な獣医師になったと思います(だから言ってやれよ)。

 彼女はまだまだだと口にするでしょうし、もちろんまだまだ勉強しなければいけないこともたくさんあるでしょうが、立派な獣医師としての基礎工事はできたのではないかと自負しております。

 女性ですが、男前なくらい決断力があり、竹をスパンと割ったような性格で、不安や苦悩があってもいっさい外には出さず、診察室に立つりりしい姿を看護師たちとともに憧れの眼で眺めていました(私の診察はいつもだらだらしているので)。

 手術なども繊細さには若干欠けますが(失礼な)、思い切りのよい執刀で、ああいうタイプは私のようにうじうじ悩みながら切っているタイプと違い、殻を破れば一気に開花し、ぐんぐん伸びていくタイプで、将来が非常に楽しみな獣医師です。

 彼女は猫に対する愛情がとにかく深く、しかも若干デブ専、不細工専で、そのような子が入院していると、仕事と関係なく入院室にこもってしまうことがありました。
 ですから、猫の臨床に関する勉強は人一倍熱心で、やはり好きこそものの上手なれというやつで、時に猫の治療や臨床について、逆に新しい知識を教えてもらうこともありました。
 最近彼女の洗脳で、若干猫派に洗脳されかけてるんですよね(うさぎの獣医師にあるまじき)。

 まだ次の就職先が決まってないのか、それとも決まっているのか実はよく知らないのですが(そしてそれが内心心配なのですが)、彼女はいつものひょうひょうとした表情で、あっさりどうにかするのだろうなぁと思います。

 まあ、どこの病院で働くのか、あるいはしばらく休養をとるのか、よくわかりませんが、願わくば、いつかどこかでまた臨床家として腕を振るい、そしてぐんぐん成長してほしいと、まあこれは親(師匠)の勝手な希望です。

 猫の専門病院なんかいいんじゃないですかね。
 それとも猫カフェとか!?
 良いなぁ、猫カフェ、行きたいなぁ(ぜんそくで死んでまうかもしれんけど)。

 師匠と言えば親も同然、弟子と言えば子も同然。

 神奈川だろうが、沖縄だろうが、アメリカだろうが、どこでもいいんですけど、どこかで幸せに生活しててくれれば、まあ文句は言いません。
 
 卒業した職場のホームページを見てるかどうか知らないけど、困ったことがあったら、電話しなさい。
 電話が面倒ならメールしなさい。
 メールは携帯でもいいけど、とたんに返事が遅くなるよ。

 どうにもならないときは呼びなさい。
 基本どこだって行きます。
 まあ、ブラジルだって、来いと言われりゃいきますよ。

 ただまああんまり遠くだと、行くの大変だなぁ。
 日帰りが無理でも、一泊で戻れる距離感がいいなぁ。
 近くに温泉あるとありがたいなぁ。
 それか、グラムかハワイだったら、3泊くらいはスタッフが許してくれないかなぁ…。
 るるぶ買ってから行くんで、できるだけ早めに連絡ください。
 休む良い口実になるので、呼ばれるの待ってます。



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