今病院にはみんなのアイドルがいます。
その名は「タマエ」さん。
全身黒で、のどの辺りだけチャームポイントの白が入った、チョーかわいい猫です(うさぎのホームページなのになんですが)。
タマエさんが来たのは9月の待つごろだったでしょうか、富山市の病院から
「骨盤骨折で便が出せなくなった猫の手術をお願いしたいのですが」との依頼でやってきた子でした。
そのころはまだ生後2ヶ月くらいの子猫で、骨盤が5箇所ほど折れ、形がゆがんで便を出せなくなっていました。
おなかはたまった便でパンパンに膨らみ、餌もあまり食べられないところまで来ていました。
依頼してくれた病院の先生がわざわざレントゲンを持ってこられたのですが、見た瞬間
「あ、これは20万円級の手術だ」と思いました。
一箇所の骨の手術だけでは、どう考えても足りず、しかも事故からはすでにかなりの日数がたっているようでした。
そこで主治医の先生から衝撃の発言
「実はこの子、野良猫で、たまたま家の前に倒れているのを保護してきたおじいさんが、病院に連れてこられたのです」
がーん!!(心の効果音)
どう考えても拾った猫に20万も出してくれるわけねー!!(心の声)
「とりあえず、保護された方に、費用や手術のリスクのお話をしたいので、一度来てもらってください。
ただ、少なくとも10万円はかかるということは一応伝えておいてください」
平静を保ちながら、一応いってみて、内心拾った猫に10万はあきらめてしまうのでは、と思っていました。
ところが、次の日その子猫を保護した方が病院にやってきたのです。
おしゃれな杖を持った、高齢の男性で、大事そうに子猫を抱えて病院に来られました。
触ってみて、かなり完治が難しそうな予感
「すでに事故からかなり時間がたっているようですから、どこまで便ができるようにしてあげられるか、どこまで歩けるようしてあげられるかもわからないです。
それでもこのままでは死ぬしかないのでできたらチャレンジさせて欲しいです。
費用は何日間入院しても、何度手術しても、すべてひっくりめて10万円でどうでしょう」
うそを言うわけにはいかないので、正直なところをお伝えしました。
お父さんは、まったく考えるまもなく
「できるだけのことはしてあげてください」と答えてくれました。
おそらくはじめから決めていたのだと思います。
まったく迷いのない言葉でした。
あんたはぁ〜えらい!!(小松の親分さん風にどうぞ)
そのあと骨盤の手術と足の骨の手術、化膿してかなり大きく壊死脱落してしまった皮膚の再生処置が延々と続きました。
というか、まだ治療中です。
すでに2ヶ月。
入院日を1日2000円として、入院日だけでも12万円。
いぇーーー!!赤字だー!!(やけくそ)
でもいいんです。
たまえかわいいから!!
お父さん良い人だから!!
ちなみにタマエという名前は保護したお父さんたちが後日つけてくれた素敵な名前です。
お父さんも毎週電話をしてきて、「あの子どうしてますか?」
と心配そうな声
言えない、一度10万円と言い切ってしまった以上は、もういえない(小市民だから)!
そんなタマエさんも、もうすぐ退院です。
がんばって便もしてくれます。
ちゃんと後ろ足も使って歩いてくれます。
撫でるとなぜか、ご飯を食べ始めます。
痛い処置をしても、ニャーとか良いながらも、我慢してくれます。 病院のマットで爪とぎだってします。
うおー、ちょーかわいいー!!
っていうか、帰ったら、ちょーさみしー ;x;
しかしうちの子にするわけにはいきません。
なぜならタマエさん、私のアレルギーにジャストミート。
はっきりいって、かゆいです。
この2ヶ月間、私の体が健康であったためしがありません。
それでも毎日撫でずにはいられない(病気)。
夜間救急で深夜に来ると、寂しいのか、超かまって攻撃をしてきます(うう、にくいやつめ)。
しんどい仕事だったし、儲からなかったし、経営者的には駄目なんでしょうが、元気になったタマエさんと、喜んでくれるお父さん見てたら、
ま、いっかーと
というところです。
ちなみに、病院が暇な時間帯はいつ見ても、タマエさんの部屋の前には、看護師さんなり獣医師なりが、治療目的でもないのに立って、遊んでもらってます。
みんな、そろそろ退院しちゃうのを察しているんでしょうね。
あー、さみしい;;
ちなみに、このひとりごとを読んで、野良猫連れてきては、安く治療してくれといってきても無駄です。
お父さんのあまりの良い人っぷりと、他の病院からの依頼に対する見栄とが絡み合った、私の初期判断ミスですので、そうそうこんな間違いは犯しません。
10万円で、という私の見込み違いから来たポカですから。
こんなこと毎月やってたら、病院潰れます。
〒933-0813
富山県高岡市下伏間江371
TEL 0766-25-2586
FAX 0766-25-2584