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アレス動物医療センター

大人のうさぎを飼う難しさ

2025/3/13

 売れ残っているうさぎ、何らかの事情で飼育が継続できなくなったうさぎ、学校うさぎなど大人のうさぎを引き取る方がいます。
 それは本当に素晴らしい心がけで、うさぎ好きの鏡だと思います。
 ただその道のりは険しく、大きな苦労が伴います。

 うさぎの食の好みは生後6〜7カ月くらいまでに決まってしまうと言われています。
 この年齢までに牧草好きに育ててあげられれば、生涯牧草をよく食べてくれる子になります。
 逆にペレットやオヤツを与えすぎ、牧草よりもそちらメインで飼育してしまうと、生後8か月以降に牧草好きに転向させるのは非常に難しくなります。
 これは歳をとればとるほど難しく、8〜12カ月、1歳以上、3歳以上と歳をとるごとに牧草好きへの切り替えはべらぼうに難しくなっていきます。
 若いうちはおやつを止め、ペレットの量を徐々に制限すれば、牧草を仕方なく食べ始めてくれる子も多いのですが、歳をとるとペレットを減らしても痩せてでも牧草を少ししか食べないというウサギが多いです。
 とにかくうさぎは食に対するこだわりが強く、成長期に覚えた食生活にかたくなにこだわる子が多いのです。

 うさぎを病気少なく長寿で過ごさせてあげるには、いかに牧草好きに育ててあげるかが勝負です。
 牧草を24時間むさぼり食べてくれる子は、歯並びも維持でき、胃腸も活発に動き続け、体調も崩しにくいです。
 たとえ何らかの原因でいっとき食欲が落ちても、すぐに治療に反応し回復してくれる子が多いです。
 牧草好きに育てることはうさぎの健康にも大切ですが、しょっちゅう病院通いをしなければいけない飼い主さんの負担も軽減されます。

 生後2〜3カ月で引き取ったうさぎさんは、たとえペットショップさんがペレットを多給するお店であったとしても、いくらでも修正が間に合います。
 ただ生後8カ月以上まで育ったうさぎさんの趣旨替えは本当に難しいのです。
 必ずしもではないですが、歳をとってから引き取られるうさぎの元飼い主は(それがペットショップであろうと、学校うさぎであろうと、飼育放棄をする飼い主であろうと)ペレット中心の食生活で飼われていることが多いです。
 もちろん一生懸命ちゃんと飼育していて、どうにもならない問題で手放さなければいけなくなったというシチュエーションもあるでしょうが、多くは牧草嫌いに育っていることが多いです。

 飼い主のトラブルなり、都合なりで飼育継続困難となった子を引き取るのは本当に尊い行為で、それは素晴らしいことです。
 ただ、引き取るときに【牧草嫌いのこと生涯付き合わなければいけないリスク】は覚悟すべきです。
 そうすると可能であれば次の二つの条件を満たしているのが理想と思われます。

1.うさぎの飼育経験がある(初心者ではない)
2.現在他のペットを飼っていない(うさぎを含め)

 初めてうさぎを飼う方にとって牧草嫌いの子を飼うというのは非常にハードルが高いです。
 うさぎを飼育した経験があり、どのような飼い方をしないといけないか、どんな時に病院に飛んでいかなければいけないかをよく知っている人が良いと思います。
 またおそらく手間と暇とお金がかかるであろう大人のうさぎを飼育する場合、その子に全力投球しなければいけなくなることが多いです。
 ほかのペットへの飼育費用、通院、時間を大きく奪われてしまう可能性があります。
 かわいそうなうさぎさんを引き取るがために、もともといたほかのペットにしわ寄せがあるのはよくないと思うのです。

 くどいようですが何らかの原因で飼育困難となった大人のうさぎを引き取る行為は本当に素晴らしいです。
 大切なのは自分にその大変さを受け入れられる覚悟と知識と環境があるかを正確に判断することなのだと思います。


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