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アレス動物医療センター

こだま記念日

 気が付いたら3月3日のひな祭りでした。
 正直に言います、完全にひとりごとのこと忘れてました。

 3月8日に雑誌の原稿締め切りがあり、椎間板ヘルニアの夜間手術が続き、なんだかんだあって、完全に忘れきってました。
 すみません、単なる言い訳です。

 今日獣医師2号に「先生、ひとりごとの更新も…」と促され、ようやく思い出した次第です。

 ちなみにこのホームページのひとりごとはスタッフにはぜったい読まないよう、厳重に言い渡してあるのですが、みんな読んでます(誰も院長の言うことを聞かない;x;)。

 で、いま急に書き始めたのですが、今日はとてもうれしいことがあったので、それを

 なんと、こだまさんを撫でることができたのです!!

 ?
 ま、わかんないですね。

 うちの看護師3号(もうどれが何号だか…)が飼っている、
 プリティーキャット「こだまさんです」
 チッチキチーの人でも、アタックチャンスの人でもないです。

 このこだまさん、顔はすこぶる美人なのですが、心は修羅のごとく、今まで全く撫でさせてもらえなかったのです。

 片手に乗るくらいの小さい頃は、そりゃもう天使のようなかわいさだったのですが、数ヵ月ぶりに会った時に彼女は、見違えるほどの美しさと、素晴らしい格闘センスを持ち合わせていました。

 いつだったか病院に出勤してきたら、入院ケージの扉にバスタオルがかけられ、中が見えない状態になっていました。

 「洗濯物でも干してるの?」と聞くと、
 「あー、こだまさんが入ってるんですけど、攻撃してくるんで…」とのこと、
 
 ケージの奥にへばりついて、「シャー」とか「フギャー」とか言ってる猫は結構いますが、アグレッシブにケージから手を出してくる子は珍しいので、そりゃまたすごいとちょっと感心したくらいです。
 
 それでも、タオルの奥で静かにしているんで、タオルをかけるなんて、ちょっと大げさなんじゃない?とか思いながら、その日の診療を始めました。

 数時間たち、こだまさんのことをすっかり忘れ、ケージに背を向けて作業をしていたら、風もないのに白衣の裾がはたはた動いているのです。
 そして、その白衣の裾のあたりで、てしっ!てしっ!という不思議な音

 何だろう?と振り向くと、タオルの端から、こだまさんの白い手がにゅっと伸びて、一生懸命白衣の裾を叩いていたのです。
 ひっ!と思ってタオルの隙間から奥を覗いてみると、獲物を狙うハンターの目がきらり!

 そぅとちかづくと、そこではじめて
 「しゃーーーー!!!」という威嚇音

 この商売やってそろそろ十何年かになりますが、本気で怖い!と思いました。

 病院で怖さのために威嚇して「近づいてくるな!」と言わんばかりに攻撃してくる猫は確かにいます。
 しかしこだまさんのは威嚇ではなく、攻撃なのです。
 音をたてず、声も出さず、まるでしのび足でネズミに近寄り、仕留めんがための攻撃。
 
 威嚇ではなく、獲物として狙われたのは初めてでした。
 狙われた院長!?

 それからもちょくちょく病院に来るのですが、なかなか心を開いてはもらえず、飼い主の看護師3号がいくとまさに猫撫で声で「なー、なー」なんてかわいく鳴いてるので、便乗して、と思って近づくと途端に「シャー!!!」と怒られる始末。
 おそらく「ツンデレ」ってやつですね(ツン9デレ1くらいの)。
 
 それでもやっぱり諦めきれず、来るたびに愛想をふりに行くのですが、全く打ち解けることはできませんでした。

 それが今日初めて撫でさせてくれたのです。
 はじめは看護師3号が撫でているところにそっと近づき(この時点で「シャー」と来ます)、そっと手を出して、一緒に撫でさせてもらったのです。
 ふーとか言いながらも、ちょっと気持ちよさそうなこだまさん。
 そこから看護師3号がそっと手を引き、私だけが撫でる時間が約1分、ふーと言いながらも一応頭をすりよせてくれるこだまさん。
 ただ1分経過したあたりで、「いつまでやってんのよ!」てな感じでぺしっと手をはたかれてしまいました。
 でも爪が出てなかったんです!(喜びがえられるレベルが低い)
 
 その後しばらくして、今度は一人で撫でてみると、なんと私一人なのに、(ふーとか言いながら)撫でさせてくれたのです。
 しかも今回は叩かれることもなくずっと!

 二人の間に愛が目覚めた(と私が勝手に感じた)瞬間でした。

 あまりの嬉しさに、スタッフに「こだまさんを撫でることができたよ!」と言ってまわっていると、看護師3号から

 「いまエリザベスカラーしてるから、首がかゆいんだと思います」
 
 り、利用されただけ!?

 でもいいんです。
 だって撫でられたんだもーん。

 たいした見返りもないのに、ちょっとのご褒美にホイホイ騙され利用される男。

 あー、結婚詐欺とかで騙されても、それでも好きなんだ、てなことを言う人の気持ちをちょっとだけ理解しました(違うのかもしれませんが)。

 このへんを 撫でてもいいと言ったから 3月3日はこだま記念日



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